マイクロプラスチックとは何か:5mm以下の「見えないプラスチック」
マイクロプラスチックとは、5mm以下の小さなプラスチック片のことです。砂粒より少し大きいくらいのものから、目ではほとんど見分けにくい微細な粒まであり、ペットボトルやレジ袋、漁具などのプラスチックごみが、波や紫外線で砕けて生まれます。最初から小さな粒として作られるものもありますが、海や川の中では、大きなごみが少しずつ細かくなり、見えにくいサイズへ変わっていきます。実際、海には膨大な量のプラスチックが存在し、海面に漂うものだけでも少なくとも5.25兆個、約26万9千トンと推定されています[2]。また、川から海へ流れ込むプラスチックは年間115万〜241万トンにのぼるとされ、私たちの暮らしの中のごみが、やがて海の問題へつながっていることがわかります[3]。小さいからといって無害ではなく、海面から姿を消した粒子がどこへ行くのかも、まだ十分に解明されていません[6]。
どこから海へ流れ込むのか:川・都市・暮らしとプラスチックごみ
プラスチックごみは、海辺に捨てられたものだけが海へ行くわけではありません。雨が降ると、道路脇や公園、空き地に残ったレジ袋の切れ端やペットボトルのふた、発泡スチロール片が側溝に集まり、小さな流れをたどって川へ入ります。都市では、風で飛ばされた包装材や、屋外に置かれたごみが散らばりやすく、見えないうちに排水路へ運ばれます。さらに、洗濯で抜け落ちた化学繊維の細かな糸くずや、タイヤの摩耗で生じる微小な粒子も、雨水や下水を通じて水環境に流れ込みます。川はそのまま海への“運び手”になり、世界では毎年115万〜241万トンのプラスチックが川から海へ入ると推定されています[3]。特に流出は雨の多い時期に増え、上位20河川だけで全体の約67%を占めます[3]。つまり、海の問題に見えても、出発点は私たちの暮らしのすぐそばにあるのです。
海の中で何が起きている?:漂うごみ、沈むごみ、消えるごみの行方
海に入ったプラスチックは、まず波や風に押されながら、海面を漂います。ペットボトルや包装片のような大きめのごみは目につきやすい一方で、海面には少なくとも5.25兆個、重さにして約26万9千トンものプラスチックが浮いていると推定されています[2]。それでも、調査では小さなマイクロプラスチックが予想より少なく、海面から「消えた」ごみの行方が課題として残りました[2][6]。その一部は、波や紫外線でさらに細かく砕かれ、目に見えないほど小さな粒になります。別の一部は、海の生きものに食べられたり、粒や有機物にくっついたりして、海面から水中へ移っていきます[6]。やがて重くなったり、ほかの粒とまとまったりして、海底へ沈むこともあります[6]。川から海へ流れ込む量も無視できず、世界では毎年115万〜241万トンが川経由で海に入ると推定されています[3]。つまり、海のごみは「浮いて終わり」ではなく、砕け、運ばれ、沈み、姿を変えながら海のあちこちへ広がっていくのです。
生きものへの影響:食べてしまう、傷つく、食物網に入りこむ
海に流れ出たプラスチックは、波や紫外線で少しずつ砕け、砂粒のようなマイクロプラスチックになります。大きさは小さくても、見た目はエサやプランクトンにまぎれやすく、魚やカメ、海鳥がうっかり飲みこんでしまいます。お腹の中にたまると、本来の食べ物が入るすき間が減り、満腹なのに栄養がとれない状態になりかねません。さらに、かたい破片が消化管を傷つけたり、体の外へ出にくくなったりするおそれもあります。海面や海中に漂う微小な破片は、食べた小さな生きものの体内に移り、次にそれを食べる魚へ、さらに大型の魚へと受け渡されます。こうしてマイクロプラスチックは、海の「食べる・食べられる」のつながりに入りこみ、私たちの食卓に近づいてきます。人の胎盤からも微小なプラスチックが見つかったことは、こうした粒子が生きものの体内へ入りうる現実を示しています[5]。
人の体にも届くのか:胎盤から見つかったマイクロプラスチック
マイクロプラスチックは、海に捨てられたレジ袋や容器が、波や紫外線で砕けてできる、5ミリ以下の小さなプラスチック片です。その粒は海だけで終わりません。2020年には、健常な妊娠の6人の胎盤を調べた研究で、4人の胎盤からマイクロプラスチックが見つかりました[5]。見つかったのは5〜10マイクロメートルほどの微小な片で、母体側と胎児側の両方で確認されています[5]。つまり、私たちが目で見えないほどの粒子が、食べものや空気などを通して体に入り、さらに妊娠中の体の中でも見つかるところまで来ている、ということです。胎盤は赤ちゃんを守る大切な「壁」のような存在ですが、その内部でプラスチック片が確認された事実は、汚染が海の問題にとどまらず、人の体の奥深くにまで届きうることを示しています[5]。ただし、この研究は「存在を初めて示した」段階であり、健康への影響はまだ十分に分かっていません[5]。だからこそ、見えないから安全なのではなく、見えないからこそ注意して減らす必要があるのです。
なぜ今すぐ対策が必要か:増え続ける汚染と、減らすための3つの視点
海に流れ込むプラスチックは、もう「いつか減る」問題ではありません。世界の海面には少なくとも5.25兆個、約26万9千トンのプラスチックが漂っていると推定され、しかも川から海へ毎年115万〜241万トンが新たに流入しています[2][3]。対策が追いつかなければ、2030年には水域に入るプラスチックが今よりさらに増え、最大で年5300万トンに達する恐れがあります[7]。つまり、いま目の前のごみを拾うだけでは足りず、流れ出る前に止める仕組みが必要です。
考えるべき視点は3つあります。第一に、使う量を減らすこと。第二に、回収しきれないごみを川や下水の段階で食い止めること。第三に、すでに自然に出たものを回収することです[7]。たとえば、雨のあとに側溝へ吸い込まれた包装材が川を下り、やがて海へ届く流れを想像すると、対策の場所は海岸だけではないとわかります。陸での使い方、集め方、取り除き方を同時に見直すことが、汚染を減らす近道です。

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