
サンゴってどんな生き物?
サンゴは「植物」だと思われがちですが、実は“動物”です。ただし、体の中には「褐虫藻(かっちゅうそう)」という小さな植物プランクトンを同居させていて、昼間はその褐虫藻(かっちゅうそう)が光合成をして栄養分をサンゴに与えてくれます。夜になると、サンゴ自身は小さな口を使ってプランクトンを食べることで生きている、まさに「動物と植物のいいとこ取り」をした不思議な存在です。
サンゴと褐虫藻(かっちゅうそう)の関係
サンゴの体内にすむ褐虫藻(かっちゅうそう)は、サンゴの色を決める大事な“相棒”です。褐虫藻(かっちゅうそう)がいなくなるとサンゴは白くなり(これを「白化(はっか)」と呼びます)、それが長く続くとサンゴは死んでしまいます。つまり、サンゴはあたたかすぎてもダメ、冷たすぎてもダメなとてもデリケートな生き物です。
サンゴ礁が生み出す豊かな生態系
サンゴ礁は海の砂漠のなかの「オアシス」のような存在です。サンゴ礁には小さな魚たちが隠れる場所やエサがあり、それを食べる大きな魚も集まり、ウミガメやジンベエザメ、クジラなどの大型生物さえも通りかかります。サンゴ礁があるおかげで、いろいろな生き物が「つながり」の中で暮らすことができるのです。
サンゴが暮らす海を支える仕組み
サンゴ礁は、たくさんの生き物たちを育むだけでなく、海岸を台風などの大波から守ってくれる「自然の防波堤」にもなります。また、死んだサンゴの骨格が粉々になったものが砂浜の砂になり、白く美しいビーチをつくります。サンゴがいてくれるからこそ、沖縄の海と浜辺は豊かな風景を保ち、たくさんの観光客も引きつけています。
さまざまな生き物とのつながり
- ナマコ:砂を食べてキレイにしてくれる“お掃除屋さん”
- ヒトデの仲間:中にはサンゴを食べてしまう「オニヒトデ」もいますが、本来はサンゴ礁のバランスをとるための一員です
- カクレクマノミ(ニモ):イソギンチャクと仲良しで、サンゴ礁のまわりでは6種類のクマノミが見られます
- ウミガメ:甲羅に付いたコケや貝を小魚がついばんだり、サンゴ礁をまわりながらエサを探してのんびり泳ぎます
サンゴの成長はゆっくり
2024年12月の沖縄サンゴの現状

2024年の沖縄の海では、サンゴの白化現象が深刻です。浅い場所のサンゴは夏の高水温の影響を受け、広範囲で真っ白になる「白化」が起きました。白くなってしまったサンゴは褐虫藻(かっちゅうそう)が抜けてしまい、長い期間そのままだと死に至る可能性が高くなります。
- 環境省の調査:2024年の夏には沖縄周辺で約89%におよぶサンゴの白化が確認され、浅瀬のサンゴは壊滅的な状態になった地域もあります。
- 深場にはまだ望みも:水深がやや深いところのサンゴは比較的ダメージが少ない場所も残っており、生き延びているサンゴもあります。
しかし、浅瀬のサンゴが大きく減ると、そこにすんでいた生き物も減ってしまい、豊かな生態系が失われる大きなリスクがあるのです。
サンゴをおびやかす原因

海水温の上昇
サンゴにとっては約25~28度くらいが過ごしやすい温度帯。30度を超えてしまうと褐虫藻(かっちゅうそう)にとっては有害になり、サンゴが褐虫藻(かっちゅうそう)を追い出してしまいます。この状態が続くとサンゴは死に至ります。
ゴミ問題(マイクロプラスチックなど)
- サンゴは“動物”なので、プラスチック片をエサと間違えて食べることがあります。
- 食べたゴミのせいで病気になる確率が高くなるともいわれ、健康なサンゴが減ってしまいます。
- 海の大型生物(ウミガメなど)もビニール袋をクラゲと間違えて食べてしまい、衰弱するケースも報告されています。
オニヒトデの大量発生
- 本来はサンゴ礁の生態系バランスを支える役目のヒトデですが、陸から流れ込む栄養過多によって「オニヒトデ」が異常に増えると、サンゴを食べつくすことがあります。
赤土の流出
- 開発や農地から流れ出す土砂(赤土)が海をにごらせ、サンゴに土が積もって息苦しくなってしまう原因に。
サンゴを守るためにできること

問題が大きすぎて、一人ひとりの力だけでは難しそうに感じるかもしれません。でも、小さなアクションを「たくさんの人」が積み重ねれば、変化を起こすことは十分にできます。
1. ビーチクリーンに参加しよう
- 海岸に落ちているゴミは全体のほんの5%程度という説もありますが、まずは身近な浜辺から。
- 小さなゴミ1つ拾うだけでも、自分と海をつなぐ第一歩になります。
2. ゴミを減らす暮らし
- マイボトルの利用やプラスチック製のスプーンやストローをもらわないなど、リフューズ(拒否)やリユース(再利用)、リデュース(削減)、リサイクルに取り組む。
- 「買わない」「もらわない」選択は、ゴミそのものを生み出さない入り口対策です。
3. サンゴの養殖や植え付けを応援する
- 沖縄各地ではサンゴを育てて海に戻す取り組みも行われています。体験ツアーやボランティアで参加してみることで、「自分も海を守る一員」としての実感がわきます。
4. 子どもたちへの教育
- 「楽しい!」から始まる体験が、海に関心をもつきっかけに。
- 学校でシュノーケルを必修にしたり、自然体験プログラムを通して早いうちから海の大切さにふれられると、将来の海を支える力になります。
まとめ
サンゴは身近で不思議な「動物」であり、沖縄の海そのものを支えている大切な存在です。2024年12月時点では厳しい状況にありながらも、深場には生き残りのサンゴがあり、今も地域の漁師さんやダイバー、子どもたちが協力して守り育てる活動が続いています。
私たち一人ひとりが、海に目を向ける小さなきっかけや行動を積み重ねていくことで、サンゴたちが再び元気になる未来をつくることができます。ぜひ、楽しみながら海を学び、行動してみましょう。
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