⚡ 30秒でわかる答え

  • 2024年度の食品小売業の食品ロスは48万トンで、事業系食品ロス237万トンの約2割を占める
  • ヤオコーは日立製作所のAI需要予測発注で発注時間を3時間から25分へ短縮し、ロスを5〜15%削減した
  • TABETEは全国約3200店舗が導入し、飲食店・小売店の売れ残りをアプリ経由で消費者に届けている
  • 恵方巻きは2019年の農水省の呼びかけ以降も予約制だけでは廃棄が完全にはなくならない構造的な課題が残る
48万トン
食品小売業の食品ロス(2024年度推計・農水省)
461万トン
日本全体の食品ロス総量(2024年度推計)
約3200店舗
フードシェアリングアプリTABETE導入店舗数(2025年9月時点)

スーパーの棚に並ぶ商品の裏側で、どれだけの食べ物が廃棄されているか考えたことはあるでしょうか。農林水産省と環境省が2026年6月に公表した2024年度推計では、食品小売業だけで年間48万トンの食品ロスが発生しています。これは中規模なスーパー数千店分の年間取扱量に匹敵する量です。

近年、スーパー各社はAIによる需要予測発注、動的な値引き、フードシェアリングアプリとの連携など、複数の対策を組み合わせて廃棄削減に取り組んでいます。ヤオコーやイトーヨーカドー、ローソンなど大手チェーンの導入事例では、発注作業の時間短縮とロス削減効果が同時に報告されています。

一方で、恵方巻きやクリスマスケーキのような季節商品は、需要予測が難しく毎年廃棄が話題になります。この記事では、最新の統計データと具体的な企業の取り組みをもとに、スーパーの食品ロス削減の全体像と、私たち消費者にできることを整理します。

この記事で学べること

  • 農水省が公表した最新の食品ロス統計と、事業系・家庭系の内訳
  • スーパーが導入するAI需要予測発注の具体的な仕組みと削減効果
  • 値引き・見切り販売がどこまでロス削減に効くのか
  • TABETEなどフードシェアリングアプリの使い方と実績
  • 恵方巻き・クリスマスケーキなど季節食品が抱える構造的な廃棄問題
  • 消費者としてスーパーの食品ロス削減に貢献できる具体的な行動

スーパーの食品ロスはどのくらい発生しているのか

農林水産省・消費者庁・環境省は2026年6月30日、2024年度の食品ロス量推計値を公表しました。日本全体の食品ロス量は461万トンで、前年度からわずかに減少しています。この数値は毎年公表されるもので、2000年度以降の統計と比較することで、日本社会がどれだけ食品ロス削減を進めてきたかを確認できる重要な指標になっています。

区分2024年度推計前年度比
食品ロス総量461万トン▲3万トン
事業系食品ロス237万トン+6万トン
 うち食品製造業110万トン-
 うち外食産業70万トン-
 うち食品小売業48万トン-
 うち食品卸売業9万トン-
家庭系食品ロス224万トン▲9万トン
2024年度食品ロス量推計値(農林水産省・環境省公表資料より)

事業系食品ロスのうち、食品小売業(スーパーやコンビニなど)が占めるのは48万トンで、外食産業(70万トン)や食品製造業(110万トン)より少ないものの、消費者に最も近い場所で発生するロスとして注目されています。売り場での欠品を避けようとする過剰発注や、賞味期限・販売期限による撤去が主な要因です。

2000年度比でどれだけ減っているか

公表資料によれば、事業系食品ロス量は2000年度比で57%の削減、家庭系食品ロス量は48%の削減となっています。事業系のほうが削減率が高いのは、大手小売・外食チェーンを中心に発注システムの高度化や賞味期限表示の見直しなど、組織的な取り組みが先行して進んできたためと考えられます。一方で家庭系の削減ペースは事業系よりも緩やかで、家庭内での「食べきる」「使い切る」意識の定着には、まだ伸びしろが残されている状況です。

事業系食品ロスの内訳(2024年度推計)

  • 食品製造業:110万トン
  • 外食産業:70万トン
  • 食品小売業:48万トン
  • 食品卸売業:9万トン
食品ロス量の内訳を示すグラフのイメージ
食品小売業の食品ロスは事業系全体の約2割を占める

食品小売業で食品ロスが発生する主な場面

  • 賞味期限・消費期限が近づき、販売期限(社内ルールによる撤去ライン)を過ぎた商品の撤去
  • 天候不順や来店客数の想定外の減少による、生鮮品・惣菜の売れ残り
  • 欠品による機会損失を避けようとする担当者の心理的な「多めの発注」
  • パッケージの傷みや賞味期限表示の印字ミスなど、品質そのものとは無関係な理由での撤去

特に惣菜やパン、弁当といった「日配品」は製造から販売までの時間が短く、需要予測が難しい商品群です。天候や周辺のイベント、曜日によって来店客数が大きく変動するため、経験だけに頼った発注では過不足が生じやすく、この領域こそがAI需要予測発注が最も力を発揮する場面になっています。

食品ロス削減推進法とスーパーの役割

日本では2019年に「食品ロスの削減の推進に関する法律(食品ロス削減推進法)」が施行され、国・自治体・事業者・消費者がそれぞれの立場で食品ロス削減に取り組むことが定められました。この法律のもとで農林水産省や消費者庁は毎年、事業系・家庭系それぞれの推計値を公表し、業種ごとの取り組み事例を収集・公開しています。スーパーは消費者と直接接する立場から、店頭での啓発活動や値引き施策、発注の高度化など、法律の目的を実務レベルで具体化する役割を担っています。

AI需要予測が変える発注業務

スーパーの食品ロス削減で最も効果を上げているのが、AIによる需要予測発注です。過去の販売実績に加え、天候・曜日・地域イベントなどのデータをAIが学習し、店舗ごとに必要な数量を自動で提案する仕組みで、従来ベテラン担当者の経験に頼っていた発注業務を数値化・省力化します。

従来の発注業務が抱えていた課題

AI導入以前の発注業務は、店舗の担当者が過去の売上台帳や自身の経験をもとに手作業で数量を決めるのが一般的でした。ベテラン担当者であれば精度の高い発注ができる一方、担当者ごとに判断のばらつきが生じやすく、異動や退職によってノウハウが失われるリスクも抱えていました。さらに、取り扱う商品点数が数千から数万点に及ぶスーパーでは、1品ずつ需要を見極める作業そのものに膨大な時間がかかっていました。

AIが学習するデータの種類

  • 過去数年分のPOS販売実績(商品別・時間帯別・曜日別)
  • 気象データ(気温・降水確率・台風情報など)
  • 近隣で開催されるイベントや学校行事のカレンダー
  • 特売やチラシ配布などの販促スケジュール
  • 在庫データ・納品リードタイム

これらのデータを組み合わせることで、AIは「明日は雨予報なので弁当の来店客が減る」「近隣で運動会があるのでおにぎりの需要が増える」といった、人間の経験則に近い判断を自動的に行えるようになります。

導入企業の具体的な成果

企業取り組み効果
ヤオコー日立製作所の需要予測型自動発注システムを導入発注時間を3時間から25分に短縮、食品ロスを5〜15%削減
イトーヨーカドー2020年9月から全店にAI需要予測発注を導入発注作業時間を約30%削減、販売ロスも減少
ローソン全国約1万4000店にセミオート発注を展開発注時間を44分短縮、1店舗あたりの廃棄高を前年比1割削減
セブン-イレブン天候・曜日・地域イベントを学習したAI発注1日あたり約35分の発注時間を短縮
国内小売各社のAI需要予測発注の導入事例
この記事の要点となる3つの数字をまとめた図版
数字で見る:本文で扱う3つの指標

これらの数値はいずれも各社が公表している事例であり、発注時間の短縮と食品ロス削減が同時に達成されている点が共通しています。AIが需要のばらつきを事前に予測することで、「売り切れて機会損失」と「作りすぎて廃棄」の両方を減らせるのが最大のメリットです。

AI需要予測発注のポイント

  • 天候・曜日・近隣イベントなど外部データも学習材料にする
  • 店舗単位・商品単位できめ細かく発注量を最適化する
  • 担当者の経験や勘に頼っていた業務を標準化できる
  • 発注時間の短縮により、接客や品出しなど他業務に人手を回せる

発注時間の短縮が意味すること

AI需要予測発注がもたらす効果は、廃棄削減だけにとどまりません。ヤオコーの事例のように発注時間が3時間から25分に短縮されると、店舗スタッフはその分の時間を接客や品出し、店内清掃といった顧客サービスの向上に充てられます。人手不足が課題となっている小売業界にとって、発注業務の自動化は食品ロス対策と労働環境改善を同時に実現する取り組みとして位置づけられています。

AI発注を導入する際のハードル

効果が明確に報告されている一方で、AI需要予測発注の導入には相応のハードルもあります。既存の基幹システムとの連携、店舗ごとの過去データ整備、担当者がAIの提案を信頼して運用に乗せるまでの移行期間などが代表的な課題です。特に新規開店店舗や改装直後の店舗は参照できる過去データが少なく、AIの予測精度が安定するまで一定の期間を要するとされています。

中小スーパーへの広がり

当初は大手チェーンを中心に導入が進んでいたAI需要予測発注ですが、クラウド型のサービスが増えたことで、自社でシステムを開発する体力のない中小規模のスーパーでも導入しやすい環境が整いつつあります。初期投資を抑えたサブスクリプション型のサービスも登場しており、今後は店舗規模を問わず標準的な発注手段になっていくと見込まれています。

値引き・見切り販売の役割と限界

賞味期限や販売期限が近づいた商品を値引きする「見切り販売」は、以前から続く定番の食品ロス対策です。近年はAIやセンサーを活用し、時間帯や在庫状況に応じて値引き幅を自動調整する「ダイナミックプライシング」を導入するスーパーも増えています。

ダイナミックプライシングの仕組み

  • 電子棚札(電子ペーパー)で値札を遠隔一括更新し、値引きのタイミングを細かく制御
  • 販売期限までの残り時間に応じて割引率を段階的に引き上げる
  • 在庫データと連動させ、廃棄が見込まれる商品を優先的に値引き

ただし値引きだけでは限界もあります。値引きシールを貼る作業自体に人手がかかるほか、値引き前提の買い控えが起きると、かえって定価販売の機会を減らしてしまう可能性も指摘されています。そのため多くのスーパーは、AI発注で「そもそも作りすぎない」対策と、値引きで「余ったものを売り切る」対策を組み合わせています。

見切り品コーナーで値引きシールが貼られた商品のイメージ
販売期限が近い商品を値引きする「見切り販売」も重要な対策の一つ

手前どりの呼びかけとの関係

見切り販売と並んで、環境省・農林水産省は「てまえどり」と呼ばれる購買行動を消費者に呼びかけています。すぐに食べる予定がある場合は、陳列棚の手前にある販売期限の近い商品から選んで購入することで、値引きを待たずとも売り場での廃棄を減らせるという考え方です。スーパー側の値引き施策と、消費者側の購買行動が両輪となって、初めて見切り販売の効果は最大化されます。

惣菜・弁当の製造量調整という選択肢

値引きに頼らない方法として、そもそも惣菜や弁当の製造量自体をAI予測に基づいて絞り込むアプローチも広がっています。閉店間際の大量値引きは一時的に話題性がある一方、値引き前提の生産計画は利益率を下げる要因にもなるため、多くのチェーンは「値引きに頼らず売り切る」ことを最終目標として、需要予測の精度向上に投資を続けています。

電子棚札がもたらす運用効率化

従来の値引きシール貼付は、スタッフが対象商品を一つずつ手に取り、シールを貼っていく人手作業でした。電子棚札を導入すると、本部やバックヤードの端末から一括で価格を書き換えられるため、値引きのタイミングを細かく調整しながら、シール貼りにかかる作業時間そのものを削減できます。人手不足が深刻な小売業界において、電子棚札は食品ロス対策と省人化を同時に進める設備投資として注目されています。

見切り販売と鮮度表示の関係

見切り販売を円滑に進めるためには、消費者が「安全に食べられる期限」を正しく理解していることも重要です。賞味期限は「おいしく食べられる目安」であり、消費期限のように安全性の限界を示すものではありません。この違いが十分に理解されていないと、賞味期限が近いだけの商品まで敬遠されてしまい、見切り販売の効果が薄れてしまいます。スーパーの店頭表示や自治体の啓発活動は、値引き施策と並行してこうした基礎知識を伝える役割も担っています。

フードシェアリングアプリで売れ残りを届ける

店舗での値引きに加えて広がっているのが、スマートフォンアプリを介して売れ残り品を消費者に届ける「フードシェアリング」サービスです。代表例が株式会社コークッキングが運営する「TABETE(タベテ)」で、飲食店やパン屋、スーパーの惣菜コーナーなどが、その日中に売り切りたい商品をアプリに出品し、消費者が割安な価格で受け取る仕組みです。

TABETEの概要

  • 運営:株式会社コークッキング
  • 導入店舗数:全国で約3,200店舗(2025年9月時点)
  • 対象商品:パン、惣菜、弁当、お菓子など販売期限が近い食品
  • 利用方法:アプリで出品を確認し、事前決済のうえ店舗で受け取る
TABETEを見るTABETE(タベテ)公式サイト廃棄予定の食品と、お得に食べたい人をつなぐフードシェアリングサービス🔗 tabete.me

こうしたサービスの利点は、スーパー側が「廃棄コストの削減」と「新規顧客との接点」を同時に得られる点です。消費者にとっても、通常より安く食品を購入できるメリットがあり、双方にメリットのある仕組みとして自治体からも利用が呼びかけられています。

自治体による利用促進の動き

東京都足立区、宇都宮市、堺市など複数の自治体が、公式サイトでフードシェアリングサービスの利用を住民に呼びかけています。ごみ減量や食品ロス削減を政策目標に掲げる自治体にとって、民間サービスとの連携は追加コストをかけずに啓発効果を得られる手段であり、今後も同様の連携が広がると見込まれます。

利用者側から見たメリットと注意点

利用者にとってフードシェアリングアプリの魅力は、通常価格より割安に食品を入手できるだけでなく、普段立ち寄らないパン屋や惣菜店を知るきっかけになる点にもあります。一方で、出品されるタイミングが不定期であることや、受け取り時間の枠が限られていることから、確実に欲しい商品が手に入るとは限らない点は理解しておく必要があります。あくまで「その日たまたま出会えたお得な食品を活用する」サービスとして利用するのが現実的です。

スーパーとフードシェアリングの相性

フードシェアリングアプリは当初、個人経営のパン屋や飲食店の利用が中心でしたが、近年はスーパーの惣菜コーナーやベーカリーコーナーでの活用も広がっています。閉店間際にまとめて値引きするよりも、あらかじめアプリで告知して受け取り時間を分散させたほうが、レジの混雑を避けながら計画的に売り切れるという運用上のメリットも指摘されています。

恵方巻き・クリスマスケーキが抱える構造的な課題

季節商品の大量廃棄は、スーパーの食品ロス問題の中でも特に注目されてきたテーマです。農林水産省は2019年1月、恵方巻きシーズンを前に食品小売業界団体へ「需要に見合った販売」を求める事務連絡を発出し、予約販売や完全受注生産への転換を呼びかけました。

予約制でも廃棄がゼロにならない理由

  • 天候や当日の来店客数など、予約以外の当日販売分の需要予測が難しい
  • 欠品を恐れる店舗側の心理から、予約数に上乗せした製造が行われやすい
  • 商品の製造・仕込みリードタイムが長く、直前の需要変動に対応しづらい

セブン-イレブンは店頭に予約ボードや農林水産省のPRキャラクター「ろすのん」の啓発資材を掲示し、予約購入を呼びかける取り組みを続けています。それでも近年の調査では、予約制の店舗でも一定量の売れ残りが確認されており、需要予測の精度向上と予約比率の引き上げが今後の課題として残っています。

恵方巻きが並ぶスーパーの売り場のイメージ
季節商品は需要予測が難しく、予約制だけでは廃棄をゼロにできない

季節食品ロスの構造的な難しさ

季節商品は年に一度しか販売機会がなく、前年データの精度が低い・仕込みのリードタイムが長いという特性から、AI需要予測でも完全な廃棄ゼロは難しいとされています。予約制の徹底と、需要予測の組み合わせが現実的な対策です。

クリスマスケーキ・おせちにも共通する課題

恵方巻きと同様の構造は、クリスマスケーキやおせち料理にも当てはまります。いずれも「その日・その時期を逃すと売れない」商品でありながら、仕込みに数日から数週間単位の準備期間が必要です。多くのスーパー・百貨店では予約販売の比率を高めることで、当日の製造・仕入れ量を予約数に近づける取り組みを進めていますが、当日来店客向けの見込み生産分をゼロにすることは難しく、毎年一定量の廃棄が発生する構造が残っています。

需要予測と予約制度の組み合わせが鍵

季節商品の廃棄を減らす現実的なアプローチは、単一の対策に頼らないことです。予約制度で確実な需要を先に確保しつつ、当日販売分についてはAIによる需要予測を活用して天候や周辺イベントを加味した最小限の追加生産に抑える。この二段構えが、恵方巻きやクリスマスケーキのような季節商品における現時点での最適解とされています。

売れ残った季節商品のその後

予約制や需要予測を徹底しても発生してしまった売れ残りについては、当日中の値引き販売に加え、冷凍保存が可能な商品であれば冷凍販売への切り替え、フードバンクへの寄付、飼料や堆肥へのリサイクルといった多段階の対応が取られています。廃棄をゼロにする「発生抑制」と、発生してしまった分をできるだけ有効活用する「再生利用」の両輪で対応するのが、季節商品ロス対策の基本的な考え方です。

消費者としてできる食品ロス削減への貢献

スーパー側の取り組みが進む一方、家庭系食品ロス(2024年度推計224万トン)も依然として全体の半分近くを占めています。買い物の仕方次第で、消費者もスーパーの食品ロス削減に直接貢献できます。

  1. 手前どり:陳列棚の手前にある販売期限の近い商品から選んで購入する
  2. 見切り品・訳あり品コーナーを積極的に活用する
  3. フードシェアリングアプリで売れ残り品を購入する
  4. 買いすぎを防ぐため、買い物前に冷蔵庫の在庫を確認する
  5. 季節商品は必要な分だけ予約購入する

家庭での食品ロス削減の具体策については、関連記事「家庭の食品ロス年間236万トンの実態|三大要因と今日からできる削減策」でも詳しく解説しています。

スーパーの対策と消費者の行動は表裏一体

AI需要予測発注がどれだけ高精度になっても、消費者が奥の商品ばかりを選び続ければ手前の商品は売れ残り、結局は廃棄につながります。逆に消費者が手前どりや見切り品の購入に積極的になれば、スーパー側は値引き幅を抑えつつ在庫を売り切りやすくなり、結果として発注量の最適化にも良い影響を与えます。食品ロス削減は、事業者の技術投資と消費者の日々の選択が噛み合って初めて効果を発揮する取り組みだといえます。

家庭での食品ロスの三大要因

家庭系食品ロスは主に「直接廃棄(未開封のまま期限切れで捨てる)」「食べ残し」「過剰除去(皮のむきすぎなど)」の3つが主な要因とされています。スーパーでの買い物の仕方を見直すことは、これらの家庭内でのロスを未然に防ぐ第一歩でもあります。必要な分だけを見極めて購入し、買った食材を計画的に使い切ることが、事業系・家庭系を問わず食品ロス全体の削減につながります。

この記事のポイントを箇条書きでまとめた図版
この記事のポイント。詳しくは各章で解説している

水産物の食品ロスとの共通点

スーパーの食品ロス対策は、青果や惣菜だけでなく水産物売り場にも共通する課題です。鮮度劣化が早い魚介類は、規格外や型崩れを理由に売り場に並ぶ前に廃棄されるケースも少なくありません。詳しくは「水産物のフードロスを減らす—鮮度劣化・規格外廃棄・冷凍活用の全体像」で取り上げています。

スーパー全体で進む対策の全体像

  • AI需要予測発注で「作りすぎ」を防ぐ
  • 値引き・ダイナミックプライシングで「売り切る」
  • フードシェアリングアプリで「別のルートで届ける」
  • 予約制・PR啓発で季節商品の「需要を平準化する」

未利用魚・規格外品との連携も進む

一部のスーパーでは、需要予測の高度化と並行して、これまで廃棄されがちだった未利用魚や規格外野菜を積極的に商品化する取り組みも広がっています。形が不ぞろいな野菜を惣菜の材料として活用したり、漁獲量は多いが知名度の低い魚をパック商品として販売したりすることで、廃棄を減らしながら新たな商品ラインナップを増やす一石二鳥の効果が期待されています。関連する取り組みは「規格外野菜と未利用魚を救う流通の仕組み」でも紹介しています。

まとめ:AIと消費行動の両輪でロスを減らす

2024年度の統計が示すように、食品小売業の食品ロスは48万トンと依然として大きな規模です。ヤオコーやイトーヨーカドー、ローソンなどの事例が示すとおり、AI需要予測発注は発注業務の効率化とロス削減を同時に実現できる有力な手段です。加えて、値引き販売やTABETEのようなフードシェアリングアプリが、AIだけでは防ぎきれない売れ残りの受け皿になっています。

恵方巻きのような季節商品が示すように、技術だけで廃棄をゼロにするのは簡単ではありません。スーパー側の仕組みづくりと、私たち消費者の「手前どり」や予約購入といった小さな行動が組み合わさることで、食品ロス削減は着実に進んでいきます。

今後は、AI需要予測発注の中小スーパーへの普及、フードシェアリングアプリの利用店舗数の拡大、そして季節商品における予約比率のさらなる引き上げが進むと見込まれます。統計上の数字を追いかけるだけでなく、日々の買い物のなかで「今日はどの商品を選ぶか」という一人ひとりの選択が、スーパー全体の食品ロス削減を後押しする力になります。

この記事のポイント

  • 2024年度の食品小売業の食品ロスは48万トン、日本全体では461万トン
  • AI需要予測発注は発注時間短縮とロス削減を同時に実現する
  • 値引き・フードシェアリングは「作りすぎ」を補う受け皿として機能する
  • 季節商品は予約制と需要予測の組み合わせが現実的な対策
  • 消費者の「手前どり」「予約購入」がスーパーの取り組みを後押しする

参考文献・出典

  1. 農林水産省 – 事業系食品ロス量(2024年度推計値)を公表
  2. 消費者庁 – 2024(令和6)年度食品ロス量推計値の公表について
  3. 農林水産省 – 食品ロス・食品リサイクル
  4. 農林水産省 – 季節食品のロス削減(恵方巻き取組事例)
  5. 農林水産省 – 恵方巻きのロス削減に向けた取組事例(PDF)
  6. TABETE(コークッキング) – フードシェアリングサービス公式サイト
  7. 流通ニュース – 農水省/恵方巻の廃棄ロス削減を小売業団体に呼びかけ

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