⚡ 30秒でわかる答え

  • RE.UNIQLOは、ユニクロが2006年に始めた全商品リサイクル活動を発展させた、回収した服をリユース・リサイクルする取り組みです。
  • 2019年に国内で回収した62万着のダウンから、2020年秋冬に「リサイクル ダウンジャケット」が誕生しました。
  • ダウンとフェザーを100%再利用し、表地に再生ポリエステルを使う「服から服へ」のリサイクルが特徴です。
  • 衣料の大量廃棄や化学繊維の洗濯くずは海の環境にも関わるため、服の循環は海を守る話でもあります。
62万着
2019年に国内で回収され、再生ダウンの原料になったダウン商品
約4,800万本
2020年春夏に再資源化した500mlペットボトル相当の本数
約56万t
国内で年間に手放され、未利用のまま廃棄される衣類の推計量(環境省)

ユニクロの「RE.UNIQLO(リ・ユニクロ)」は、着なくなった服を店舗で回収し、リユースやリサイクルにつなげる取り組みです。回収したダウンから新しいダウンジャケットを作るなど、「服から服へ」の循環を目指しています。

衣類は身近な存在ですが、実は大きな環境課題を抱えています。環境省の推計では、国内で手放される衣類の約7割が廃棄されており、化学繊維の衣類は洗濯のたびに微細な繊維くずを出し、その一部は海に流れ込みます。服の循環は、陸のごみ問題であると同時に、海の問題でもあるのです。

この記事では、RE.UNIQLOの仕組みと実績を公開情報にもとづいて整理し、海洋環境との関係、そして企業の取り組みをどう読み解けばよいかまで、順を追って解説します。

この記事で学べること

  • RE.UNIQLOが「回収→選別→リユース/リサイクル」でどう動くのか
  • 回収ダウンから再生ダウンジャケットを作る仕組みと、その特徴
  • ペットボトル再生ポリエステルが衣料に使われる理由と効果
  • 衣料の大量廃棄とマイクロファイバーが、海にどう関わるのか
  • 企業の取り組みを読むときに見るべき視点と、私たちにできること

RE.UNIQLOとは?取り組みの全体像

2006年の全商品リサイクル活動から2020年のRE.UNIQLOへ

ユニクロを展開するファーストリテイリングは、2006年に「全商品リサイクル活動」を始めました。お客様が着なくなったユニクロの服を店舗で回収し、必要としている人へ届けたり、資源として再利用したりする活動です。

この活動は2020年に「RE.UNIQLO」へと発展しました。「RE」には、Reuse(再利用)、Recycle(再資源化)、Reduce(削減)といった意味合いが込められ、回収した服を無駄にしない姿勢を示しています。

回収した服はどうなるのか

店舗で回収された服は選別され、状態や素材に応じて大きく2つの道に分かれます。まだ着られるものはリユース、着用が難しいものはリサイクルです。

区分主な行き先ねらい
リユース難民や被災者などへの衣料支援(国連難民高等弁務官事務所などと連携)まだ着られる服を、必要とする人に届ける
リサイクル(服へ)再生ダウンなど、新しい衣料の原料資源を衣料の中で循環させる
リサイクル(服以外)自動車の防音材や燃料など素材を捨てずに別の用途で活かす
回収した服の主な行き先(公開情報をもとに整理)

回収の入り口は店舗のレジ

回収は国内のユニクロ全店舗のレジなどで受け付けられてきました。2020年には、ダウン商品の回収時に500円分のデジタルクーポンを配布する施策も行われ、回収に参加するきっかけづくりが工夫されています。

回収したダウンが「再生ダウン」になる仕組み

2019年に国内で回収された62万着

RE.UNIQLOの象徴ともいえるのが、リサイクルダウンです。ユニクロの発表によれば、2019年に国内で回収したダウン商品は62万着にのぼり、これを原料に2020年秋冬、第1弾の「リサイクル ダウンジャケット」が発売されました(発売は2020年11月2日、価格は税別7,990円)。

回収されたダウン商品が選別・洗浄され、羽毛が再利用されて新しいジャケットになる工程の図解
回収→選別→羽毛の再生→新しいジャケット、という流れのイメージ

100%再利用のダウンと再生ポリエステルの表地

このジャケットは、ダウンとフェザーを100%再利用し、表地には再生ポリエステルが使われています。デザインはパリR&Dセンターのチームが担当し、「リサイクル品だから地味」という印象を超える商品づくりが意識されました。

ここがポイント

  • 「服を回収して資源として使う」だけでなく、「同じ服の素材に戻す」ことを実現した点が大きな特徴です。素材の質を保ちながら循環させるのは、実は技術的に簡単ではありません。

新品の羽毛との違いは?

再生ダウンは、新たに羽毛を調達する必要が減る点が利点です。一方で、回収品の状態にばらつきがあるため、選別・洗浄・品質管理の工程が欠かせません。具体的なCO2削減量などは、公開されている発表資料では詳細な数値が示されていない部分もあるため、数字を引用するときは必ず一次資料を確認しましょう。

ペットボトルから服へ:再生ポリエステルの活用

500mlペットボトル約4,800万本分を再資源化

ユニクロは、回収したペットボトルから再生したポリエステルを衣料に使っています。同社の公表では、2020年春夏シーズンに500mlペットボトル約4,800万本分を再資源化しました。原油から作る場合と比べ、再生ポリエステルチップの製造に伴うCO2排出量は約3分の1に抑えられるとされています。

ペットボトルのリサイクルそのものについては、ペットボトル水平リサイクルの仕組みの記事も参考になります。ボトルから再びボトルへ戻す「水平」と、ボトルから衣料へ向かう「繊維化」は、同じ素材でも目的が違います。

リサイクル素材の使用比率と目標

ユニクロは、全使用素材に対するリサイクル素材などの割合を2030年度までに約50%にする目標を掲げています。同社の公表によれば、2024年度の進捗は18.2%です。目標との距離があることを正直に示している点は、取り組みを評価するうえで重要な情報です。

この記事の要点となる3つの数字をまとめた図版
数字で見る:本文で扱う3つの指標

ペットボトルの行方は、海ごみの入口でもある

使い捨てのペットボトルは、適切に回収されなければ海ごみになりえます。回収されて繊維などの資源に変わる流れが太くなるほど、海に漏れ出す量は減らせます。身近な事例として、コカ・コーラのリサイクルPETの取り組みもあわせて読むと、飲料側と衣料側の両面から理解できます。

なぜ衣料の循環が必要なのか:国内の廃棄量

環境省の推計:年間約56万トンが手放され廃棄

環境省の推計によると、国内の衣類の新規供給量は約82.2万トンで、そのうち約7割にあたる約55.8万トンが、事業所や家庭から手放され、未利用のまま廃棄されているとされます。家庭分だけでも約51万トンが焼却などで処理されています。

項目推計値備考
国内の新規供給量約82.2万トン衣類全体
手放され未利用で廃棄される量約55.8万トン約7割に相当
うち家庭から約51万トン焼却等で処理
国内の衣類の供給と廃棄(環境省の推計)

政府の目標と、現在地

政府は、2030年度までに家庭から手放される衣料品のうち廃棄されるものを、2020年度比で25%削減する目標を掲げています。2024年時点の進捗は約1.7%にとどまるとされ、目標達成には回収・リユース・リサイクルの仕組みを大きく広げる必要があります。

補足

  • 環境省は2026年3月に「サステナブルファッションの推進に向けたアクションプラン」を策定しています。企業の回収活動だけでなく、「質の良いものを選び、大切に着る」という消費者の行動変容も重視されています。

衣料と海のつながり:マイクロファイバー問題

洗濯で出る繊維くずが海へ

ポリエステルやナイロンなどの化学繊維の衣類は、洗濯のたびに目に見えないほど細い繊維くず(マイクロファイバー)を出します。これらは下水処理場を通っても完全には除去されず、一部が川や海へ流れ出ます。

国際自然保護連合(IUCN)の2017年の報告によると、海へ流れ込むプラスチックのうち、15〜31%が一次マイクロプラスチックであると推定され、そのおよそ3分の2を占めるのが合成繊維の洗濯とタイヤの摩耗です。単独では、合成繊維の洗濯が一次マイクロプラスチックの約35%を占めるとする推計が知られています。

洗濯機から出た繊維くずが排水を通って川から海へ流れる様子の図解
洗濯で出た繊維くずは、排水を通じて海へ届くことがある

海の生き物への影響

海中の微細なプラスチックは、プランクトンや小さな魚に取り込まれ、食物連鎖を通じて広がる可能性が指摘されています。影響の程度は研究途上ですが、「出さない」「減らす」ことが予防的な対策になります。

RE.UNIQLOと海の関係をどう見るか

RE.UNIQLO自体が、マイクロファイバーを直接減らす取り組みではありません。しかし、服を長く使い、廃棄を減らし、素材を循環させることは、新しい化学繊維の生産と廃棄の量を抑えるという意味で、海への負荷低減につながる間接的な効果が期待できます。

注意

  • 「リサイクル素材だからマイクロファイバーが出ない」わけではありません。再生ポリエステルも洗濯で繊維くずを出します。素材の循環と、洗濯時の流出対策は、別々に考える必要があります。

リユースと社会貢献:難民・被災者への衣料支援

回収した服を18種類に分類して届ける

ユニクロの回収活動では、まだ着られる服は、季節・性別・サイズ・気候・文化・宗教などの違いを考慮して18種類に分類し、難民や被災者などへ届けられています。単に「古着を送る」のではなく、受け取る人の事情に合わせる点が特徴です。

子ども服・ベビー服の不足

2021年10月15日から11月30日に行われた回収キャンペーンでは、ヒートテックインナー(1点あたり200円、上限1,000円)やダウンウェア(1点あたり1,000円)の回収に割引クーポンを提供し、難民支援に必要な子ども服・ベビー服が約100万枚不足していることが呼びかけられました。

また、2022年9月からは、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)と協力し、バングラデシュのロヒンギャ難民女性を支援するプロジェクトも始まっています。

この記事のポイントを箇条書きでまとめた図版
この記事のポイント。詳しくは各章で解説している

リユースとリサイクルの優先順位

資源循環の考え方では、まずReduce(減らす)、次にReuse(再使用)、最後にRecycle(再資源化)が基本です。服をそのまま使うリユースは、リサイクルより加工に使うエネルギーが少なく、環境負荷が小さい選択肢です。

企業の取り組みを読み解く視点

数値を見るときの3つの確認点

  • 何を基準にした削減か:「原油から作る場合と比べて」など、比較対象が明記されているか
  • 範囲はどこまでか:国内だけか、全世界か。特定商品だけか、全商品か
  • 目標と実績の差:2030年度に約50%という目標に対して、2024年度が18.2%という進捗の差をどう見るか

「良い面」と「課題」の両方を見る

RE.UNIQLOは、衣料の循環を大規模に実践している点で先進的です。一方で、衣料の大量生産・大量消費そのものをどう減らすか、回収した服の全量をどこまで服に戻せるか、といった課題は業界全体に残っています。

服を選び、着て、回収に出し、再び服として戻ってくる循環のイメージ図
服の循環は、使う人・企業・社会が一緒につくるもの

海の環境に関心のある読者にとって大切なのは、「どの企業が良いか」を決めることではなく、服のライフサイクル全体が海にどうつながるかを知り、自分の選び方に活かすことです。関連して、海洋プラスチックを再利用した製品の事例もあわせて見ると理解が深まります。

私たちにできること:服との付き合い方

買う前・着る間・手放すときの3段階

  • 買う前:本当に必要か、長く着られる品質か、手持ちと合わせられるかを考える
  • 着る間:洗濯ネットの使用や洗濯回数の見直しで繊維くずの流出を抑え、丁寧に手入れして長く着る
  • 手放すとき:まず譲る・売る、次に店舗回収などリユース・リサイクルの窓口を使い、ごみとして捨てるのは最後に

店舗回収を使うときの注意

回収にはブランドごとに対象商品や条件があります。汚れや破れの程度、対象外の商品、クーポン配布の有無などは時期によって変わるため、利用前に公式サイトの最新情報を確認しましょう。

今日からできること

  • 1. クローゼットで1年以上着ていない服を確認する。2. 着られる服は譲る・売る・回収に出す。3. 化学繊維の服は洗濯ネットを使う。

まとめ:服の循環は、海を守る選択につながる

RE.UNIQLOは、回収した服をリユースとリサイクルにつなげ、「服から服へ」の循環を実践する取り組みです。国内62万着のダウンから生まれた再生ダウンや、ペットボトル再生ポリエステルの活用は、資源を大切に使う具体例といえます。

同時に、リサイクル素材の使用比率は目標に向けて進行中であり、衣料の廃棄量削減という国の目標も道半ばです。企業の取り組みを知り、数値と範囲を確かめながら、私たち自身の服との付き合い方を見直すことが、陸の資源循環と海の環境保全の両方につながります。

この記事のまとめ

  • RE.UNIQLOは2006年の活動を発展させた衣料回収・循環の取り組み。
  • 回収ダウン62万着から、ダウン・フェザー100%再利用の再生ダウンジャケットが誕生。
  • 国内では年間約56万トンの衣類が手放され廃棄されており、海のマイクロファイバー問題とも無縁ではない。
  • 数値は「何と比べた削減か」「範囲はどこまでか」を確認して読む。

参考文献・出典

  1. ユニクロ プレスリリース(2020年9月)リサイクル ダウンジャケット – 回収62万着・再生ダウン・価格・回収拠点
  2. ユニクロ プレスリリース(2021年10月)回収キャンペーン – ヒートテック・ダウン回収と難民支援
  3. ユニクロ サステナビリティ(ラウンドテーブル) – リサイクル素材の目標・進捗
  4. Business Insider Japan ユニクロのリサイクル解説 – RE.UNIQLOの経緯・再生ポリエステル
  5. 環境省 サステナブルファッション – 衣類の供給・廃棄量の推計と政府目標
  6. IUCN Primary microplastics in the oceans(2017) – 一次マイクロプラスチックの発生源
  7. 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)日本 – 難民支援の公式情報
  8. ユニクロ 公式サイト(サステナビリティ) – 最新の取り組み・回収条件の確認

※ 信頼性の高い順に配列:政府機関・学術機関 > 査読済み論文 > 専門機関 > 信頼できるメディア