7.7億本
ペットボトル回収機の累計回収本数(2025年10月末・設置開始から)
15.0%
セブンプレミアム水産商品に占めるMSC認証商品の割合(2024年度)
100%
2050年の目標:容器の環境配慮型素材化・持続可能な食品原材料の割合

毎日のように立ち寄るコンビニやスーパーが、実は海の未来を左右するプレーヤーだと聞いたら、少し意外に感じるかもしれません。セブン-イレブンやイトーヨーカ堂を展開するセブン&アイグループは、2019年に環境宣言「GREEN CHALLENGE 2050」を発表し、プラスチック対策や持続可能な調達など4つのテーマで2030年・2050年の数値目標を掲げました。

宣言から数年がたち、店頭にはペットボトル回収機が並び、セブンプレミアムの棚には「海のエコラベル」ことMSC認証のマークが付いた商品が増えています。ペットボトルの累計回収本数は2025年10月末までに7億7,000万本を突破し、回収機は全47都道府県に行きわたりました。一方で、2050年の「100%」という目標までの道のりは、まだ半ばです。

この記事では、GREEN CHALLENGE 2050の中身を一次情報(公式リリース・サステナビリティ報告)にもとづいて整理し、とくに海とつながりの深いプラスチック対策認証水産物の調達を中心に、実績と課題を中立の視点で読み解きます。買い物のたびに私たちができる小さな選択も、あわせて紹介します。

この記事で学べること

  • 環境宣言「GREEN CHALLENGE 2050」の4つのテーマと2030年・2050年の数値目標
  • レジ袋・容器のプラスチック削減がどこまで進んでいるか(辞退率8割近く・素材転換)
  • ペットボトル回収機と「ボトルtoボトル」の仕組み、累計7億7,000万本という回収実績
  • セブンプレミアムのMSC・ASC認証水産物と、店内加工でも認証を名乗れるCoC認証の意味
  • 食品ロス対策「エシカルプロジェクト」とCO2削減が海の環境とつながる理由
  • 評価できる点と残された課題を、一次情報にもとづいて中立に見分ける視点

GREEN CHALLENGE 2050とは——コンビニグループが掲げた環境宣言

GREEN CHALLENGE 2050は、株式会社セブン&アイ・ホールディングスが2019年5月8日に発表したグループ共通の環境宣言です。「CO2排出量削減」「プラスチック対策」「食品ロス・食品リサイクル対策」「持続可能な調達」という4つのテーマを定め、それぞれに2030年の目標と2050年の目指す姿を数値で示しました。小売業のグループが、30年先までの長期目標を数値付きで宣言したことは、当時の日本の流通業界では先進的な取り組みでした。

宣言が生まれた背景——海洋プラスチック問題への危機感

発表された2019年前後は、海洋プラスチックごみ問題への国際的な関心が一気に高まった時期です。使い捨てプラスチックの規制が各国で進み、日本でも2020年7月からレジ袋の有料化が全国で義務づけられました。コンビニエンスストアは、弁当容器・ペットボトル・レジ袋などプラスチックと接点の多い業態です。だからこそ、店舗網の大きいセブン&アイグループが方針を変えることは、社会全体のプラスチックの流れを変える力を持ちます。

もうひとつの背景が、国際的な枠組みの進展です。2015年に採択されたSDGs(持続可能な開発目標)とパリ協定は、企業にも「2030年」「今世紀後半」といった長い時間軸での行動を求めました。GREEN CHALLENGE 2050という名前の「2050」は、この世界的な時間軸に自社の経営を重ねる意思表示です。目標年を遠くに置くだけなら簡単ですが、この宣言は中間地点である2030年の数値目標をセットで示した点に特徴があります。中間目標があることで、進捗が毎年の報告で検証でき、外部からも「順調か、遅れているか」を判断できるようになっています。

対象はグループ全体——コンビニからスーパー、レストランまで

宣言の対象は、セブン-イレブン・ジャパンだけでなく、イトーヨーカ堂やヨークベニマルなどのスーパーマーケット、デニーズなどの外食まで含むグループ全体です。なお、セブン&アイグループでは近年、コンビニ事業へ経営資源を集中するグループ再編が進んでいますが、環境への取り組みはサステナビリティ報告を通じて継続的に開示されています。まずは宣言の原文を確認したい方は、以下の公式リリースが出発点になります。

なぜ小売の環境宣言が重要なのか——店舗網は社会インフラ

メーカーの環境対策が「作り方」を変えるのに対し、小売の環境対策は「売り方」と「暮らし方」を同時に変える力を持ちます。全国の店舗は、商品が消費者の手に渡る最後の接点であると同時に、使い終わった容器が資源に戻る入り口にもなれるからです。品ぞろえの基準を変えれば取引先メーカーの容器や原材料も変わり、店頭に回収機を置けば市民の行動も変わる——川上と川下の両方へ影響が広がる位置に、小売は立っています。

とりわけコンビニは「自宅や職場からもっとも近いお店」として、毎日の生活動線に組み込まれています。だからこそ、環境の取り組みが特別なイベントではなく日常の習慣として根づくかどうかは、こうした身近な店舗が何を当たり前にするかに大きく左右されます。GREEN CHALLENGE 2050は、その「当たり前」を2050年までに置き換えていく工程表だと捉えると、全体像がつかみやすくなります。

公式リリースを見るセブン&アイグループの環境宣言『GREEN CHALLENGE 2050』2019年5月8日のニュースリリース。4つのテーマと2030年・2050年目標の原文を読める。🔗 7andi.com
コンビニの店舗を中心に、海・森・田畑へ矢印がのびて循環していることを示す概念イラスト
店舗を起点に資源が循環する——GREEN CHALLENGE 2050が描く姿

ここがポイント

  • GREEN CHALLENGE 2050は2019年5月発表のグループ環境宣言
  • 4テーマ×「2030年目標+2050年の目指す姿」という二段構えの設計
  • コンビニ・スーパー・外食を含むグループ全体が対象

4つのテーマと数値目標を整理する

まず、宣言の骨格である4つのテーマと数値目標を一覧で整理します。4つのテーマは、店舗のエネルギー(CO2)、商品の入れ物(プラスチック)、売れ残り(食品ロス)、原材料の入り口(調達)——つまり商品が生まれてから廃棄されるまでの一生を上流から下流までカバーする構成になっています。発表時のリリースにもとづく目標は次のとおりです。

テーマ2030年目標2050年の目指す姿
CO2排出量削減店舗運営に伴う排出量を30%削減(2013年度比)※後に50%削減へ引き上げ80%以上削減 ※後に実質ゼロへ引き上げ
プラスチック対策オリジナル商品の容器に環境配慮型素材を50%使用/プラスチック製レジ袋の使用ゼロ環境配慮型素材を100%使用
食品ロス・食品リサイクル食品廃棄物を発生原単位で50%削減(2013年度比)/食品リサイクル率70%75%削減/リサイクル率100%
持続可能な調達オリジナル商品の食品原材料に持続可能性が担保された原材料を50%使用100%使用
GREEN CHALLENGE 2050の4テーマと目標(2019年5月8日発表リリースより作成)

「発生原単位」って何?——目標の読み方

表の中にある「発生原単位」は、少し耳慣れない言葉かもしれません。これは売上高など事業規模あたりの発生量を指す指標です。店舗数や売上が増えれば廃棄物の総量も増えやすいため、「規模あたりでどれだけ効率よく減らせたか」を測る物差しとして使われます。総量での削減と原単位での削減は意味が異なるので、企業の環境目標を読むときは「何を分母にした数字か」を確かめるのがコツです。こうした読み方を身につけると、他社の宣言と比べるときにも数字に振り回されなくなります。

CO2目標は途中で引き上げられた

注目したいのは、CO2排出量削減の目標が発表後に上方修正されている点です。2019年の発表時は「2030年に30%削減・2050年に80%以上削減」でしたが、その後の脱炭素の流れを受けて「2030年に50%削減(2013年度比)・2050年に実質ゼロ」へと引き上げられました。長期目標を掲げたうえで、社会の要請に合わせて水準を上げていく——この動きは、目標が「飾り」ではなく経営の中で生きていることを示すサインとして読めます。

4テーマのうち、海との接点がとくに深いのは「プラスチック対策」と「持続可能な調達」です。ここからは、この2つを中心に実績を見ていきます。

この記事の要点となる3つの数字をまとめた図版
数字で見る:本文で扱う3つの指標

プラスチック対策①——レジ袋ゼロと容器の素材転換

プラスチック対策の柱は2つあります。ひとつはプラスチック製レジ袋を2030年までにゼロにし、紙などの持続可能な天然素材へ置き換えること。もうひとつは、セブンプレミアムをはじめとするオリジナル商品の容器を環境配慮型素材へ切り替えることです。

レジ袋——辞退率は8割近くまで上昇

2020年7月のレジ袋有料化以降、マイバッグの利用は日常の風景になりました。セブン&アイグループ全体のレジ袋辞退率は、2024年2月末時点で8割近くに達しています。一枚数円の小さな選択でも、全国2万を超える店舗網で積み重なれば、削減されるプラスチックの量は膨大です。レジ袋のような「ワンウェイ(使い捨て)プラスチック」は、ポイ捨てや流出を通じて川から海へたどり着きやすいごみの代表格でもあります(詳しくは川から海へ流れ出すプラスチックごみの記事で解説しています)。

GREEN CHALLENGE 2050が目指すのは、辞退率の向上にとどまらず、プラスチック製レジ袋そのものを2030年までにゼロにし、紙などの持続可能な天然素材へ置き換えることです。「有料化して減らす」段階から「そもそもプラスチックを配らない」段階へ——ゴールの置き方が一段深いことは、宣言を評価するうえで見逃せないポイントです。

容器の素材転換——バイオマス・再生素材・紙へ

オリジナル商品の容器では、石油由来のプラスチックから、バイオマスプラスチック・リサイクル素材・紙などの環境配慮型素材への切り替えが進められています。たとえばセブン-イレブンでは、パスタなど麺類の容器の紙素材化や、バイオマスプラスチックの採用が進められており、オリジナル商品で使う容器の約4割を環境配慮型素材に変更したと報じられています。2030年の目標である50%まで、あと一歩の水準です。

  • サラダ・パスタ容器などでの紙素材への変更
  • 飲料カップ・弁当容器などでのバイオマスプラスチック配合
  • 回収ペットボトル由来の再生PET素材の活用(次章で詳述)

食品容器の素材転換は、見た目以上に難易度の高い仕事です。容器には、中身の鮮度を保つ、電子レンジ加熱に耐える、輸送中に壊れない、といった機能が同時に求められます。紙や再生素材へ切り替えるには、これらの機能を落とさない設計と、大量供給できる調達網の両方が必要で、1品目ずつ地道に置き換えていくしかありません。「約4割」という数字は、その積み重ねの現在地です。

環境配慮型素材とは

バイオマス(植物由来)プラスチック、生分解性プラスチック、リサイクル素材、紙・木などの天然素材の総称。石油由来の新品(バージン)プラスチックの使用量を減らし、焼却時のCO2や海洋流出時の負荷を下げる狙いがある。

素材転換の注意点——「生分解性」は万能ではない

ひとつ注意したいのは、環境配慮型素材に切り替えても「海に流出してよいプラスチック」になるわけではない、という点です。生分解性プラスチックの多くは、高温の堆肥化施設など特定の条件でよく分解するよう設計されており、低温の海水中では分解が非常に遅いことが知られています(海洋プラスチックごみの分解過程の記事で詳しく解説しています)。素材転換の主な意義は、化石資源の使用量と廃棄時の環境負荷を減らすことにあり、ポイ捨て対策の代わりにはなりません。だからこそ、次章で紹介する「回収の仕組み」との両輪が重要になります。

プラスチック対策②——ペットボトル回収機と「ボトルtoボトル」

GREEN CHALLENGE 2050のプラスチック対策で、もっとも市民に身近な仕組みが、店頭のペットボトル回収機です。セブン-イレブンなどの店先に置かれた機械に空のペットボトルを入れると、圧縮されて資源として回収され、再びペットボトルへ生まれ変わります。

全47都道府県に設置、累計7億7,000万本を回収

回収機の設置は2015年に始まり、2025年10月には全47都道府県への設置が完了。設置開始からの累計回収本数は7億7,000万本を突破しました。セブン&アイのサステナビリティ報告によれば、2024年度の設置台数は4,763台、年間の回収量は約14,500トンに達しています。自治体と連携して設置を進める例も多く、行政の資源回収を店頭が補完する形になっています。

年度回収量(トン)設置台数(台)
2019年度9,740820
2021年度10,8562,098
2023年度13,1004,187
2024年度14,5004,763
ペットボトル回収機の回収量・設置台数の推移(セブン&アイ・ホールディングス「資源の有効活用」より作成)

回収機が広がる背景には、自治体との連携もあります。ペットボトルはかさばるため家庭ごみの回収日まで置き場所に困りがちですが、買い物のついでに店頭で出せれば、資源として回収される量が増えます。実際に、兵庫県西宮市や徳島県徳島市など、市の資源循環の取り組みとしてセブン-イレブン店舗への回収機設置を市民に案内している自治体もあります。行政の回収網とコンビニの店舗網が重なることで、「捨てる」から「資源に戻す」への切り替えがしやすくなっているのです。

回収機の使い方——キャップとラベルは外して

  • 中を軽くすすぎ、飲み残しがない状態にする
  • キャップとラベルは外す(外したキャップ・ラベルは店舗や自治体の分別へ)
  • つぶさずそのまま投入口へ入れる(機械が自動で圧縮する)

「ボトルtoボトル」——回収したボトルが商品棚に戻ってくる

回収されたペットボトルの活用先として象徴的なのが、ボトルtoボトル(水平リサイクル)です。店頭で回収したボトルをリサイクルし、再びペットボトル飲料の容器として使う循環で、プライベートブランドの「一(はじめ)緑茶 静岡茶入り 600ml」などに採用されています。ペットボトルを服や卵パックにする「カスケードリサイクル」と違い、ボトルからボトルへ何度も循環させられるのが強みです。仕組みの詳しい解説はコカ・コーラの100%リサイクルPETボトルの記事もあわせてどうぞ。

7億7,000万本という数字は、単純計算で日本の人口(約1億2,400万人)1人あたり6本以上に相当します。1本ずつ店頭に持ち込まれたボトルの集積と考えると、「消費者参加型のリサイクル」がどれほどの規模まで育ったかが実感できます。同様のボトルtoボトルは飲料メーカー側でも進んでおり、サントリーの水平リサイクルの記事では作り手側から見た循環を紹介しています。小売の「回収網」とメーカーの「再生技術」がかみ合うことで、ペットボトルの循環は初めて一周します。

公式サイトで見るペットボトル回収機の取り組み|セブン-イレブン・ジャパン店頭回収機の仕組みと「ボトルtoボトル」の流れを紹介する公式ページ。設置店舗の検索もできる。🔗 sej.co.jp
店先のペットボトル回収機に買い物客が空のボトルを入れ、それが新しいボトルへ循環する様子のイラスト
店頭回収→再生工場→新しいボトルへ。「ボトルtoボトル」の循環

持続可能な調達——認証水産物を毎日の売り場へ

4テーマのうち、海の生態系にもっとも直結するのが持続可能な調達です。セブン&アイグループは、セブンプレミアムを含むオリジナル商品の食品原材料について、「持続可能性が担保された原材料」を2030年に50%、2050年に100%使用する目標を掲げています。水産物では、その担保の柱がMSC認証(天然魚)とASC認証(養殖魚)です。

なぜ「認証」が必要なのか——獲りすぎの海と、選べない消費者

国連食糧農業機関(FAO)の報告によれば、世界の水産資源のうち3分の1以上が持続可能な水準を超えて漁獲されていると評価されています(乱獲の仕組みは乱獲と資源崩壊の記事で詳しく解説しています)。しかし、店頭に並んだ切り身を見ても、その魚がどんな獲り方をされたのかを消費者が見分けることはできません。この「見えない」を解決するのが第三者認証です。持続可能な漁業・養殖であることを独立した機関が審査し、ラベルで消費者に伝える——認証は、海の健全さを買い物の場につなぐ翻訳装置といえます。

小売がこの仕組みに本気で取り組む意味は大きく、認証商品の売り場が増えるほど、漁業・養殖の現場には「持続可能な方法を選ぶと売り先が広がる」という経済的な動機が生まれます。目標の「2030年に50%」は、この好循環を回すためのエンジンです。

セブンプレミアム初のMSC認証商品は「辛子明太子」

セブンプレミアムで初めてMSC「海のエコラベル」が付いた商品は、2018年10月発売の「セブンプレミアム 辛子明太子」でした。持続可能な漁業で獲られたスケソウダラの卵を使い、認証のマークをパッケージに表示。その後、2022年10月にはASC認証(責任ある養殖)の「セブンプレミアム フレッシュ 生アトランティックサーモン」の販売も始まり、認証水産物はコンビニ・スーパーの日常の棚へ広がってきました。MSC認証のラベルの見方はMSC海のエコラベル認証の解説記事で詳しく紹介しています。

CoC認証取得で「店内加工の魚」にも認証マークが付けられる

2022年10月、セブン&アイ・ホールディングスはMSC・ASCのCoC認証(Chain of Custody=加工・流通過程の認証)を取得しました。これにより、イトーヨーカ堂・ヨークベニマル・ヨークのスーパー3社では、店内で切り身や刺身に加工した認証水産物にも、認証商品として表示・販売できるようになりました。認証は「獲る現場」だけでなく「売り場に届くまで」の管理が問われるため、CoC認証の取得は小売として本格的に取り組む意思表示といえます。

年度MSC認証商品の割合ASC認証商品の割合
2021年度8.2%3.7%
2022年度8.1%3.0%
2023年度9.2%15.7%
2024年度15.0%5.0%
セブンプレミアム水産商品に占める認証商品の割合(セブン&アイ・ホールディングス「持続可能な原材料の調達」より作成)

実績の推移を見ると、セブンプレミアム水産商品に占めるMSC認証商品の割合は2021年度の8.2%から2024年度には15.0%へ上昇しました。ASC認証商品は2024年度で5.0%です(年度により変動があります)。イオンの「トップバリュ」など他の小売グループも同様の調達改革を進めており(イオンの認証水産物の記事参照)、業界全体で「持続可能な魚を当たり前にする」競争が始まっています。

水産物だけではない——農産・大豆・カカオにも広がる調達改革

持続可能な調達は水産物に限りません。農産品では、栽培情報をたどれる「顔が見える野菜。」「顔が見える果物。」シリーズを展開し、グループには農業生産工程管理(GAP)の指導員資格を持つ社員が2024年度時点で77人います。また、大豆では2023年からSSAP認証(米国大豆の持続可能性認証)原材料の使用が始まり、カカオでは国際フェアトレード認証の商品も販売されています。「魚も野菜もチョコレートも、原材料のふるさとが健全であること」——これが2050年の「100%」が意味するゴールです。

公式ページを見る持続可能な原材料の調達|セブン&アイ・ホールディングスMSC・ASC認証水産物の比率推移や「顔が見える野菜。」など、調達の取り組みと実績データを公開。🔗 7andi.com
スーパーの鮮魚売り場で親子が魚のパックに付いた小さな認証ラベルを確かめているイラスト
売り場でラベルを確かめる——認証水産物は消費者が選ぶことで増えていく

食品ロスとCO2——残る2テーマも海につながる

プラスチックと調達に比べると目立ちませんが、残る2テーマ「食品ロス・食品リサイクル」と「CO2排出量削減」も、海の環境と深くつながっています。

エシカルプロジェクト——販売期限が近い商品にポイント還元

食品ロス対策の代表例が、セブン-イレブンが2020年5月から全国で展開する「エシカルプロジェクト」です。販売期限が迫ったおにぎりや弁当などに緑色のシールを貼り、電子マネーnanacoで購入すると税抜価格の5%分のボーナスポイントを付与する仕組みで、値引きシールを待つのではなく「早めに選ぶとおトク」という形で廃棄を減らします。この取り組みなどにより食品ロスを2割程度削減したと報じられています。魚や海産物のロス削減は水産資源の有効活用に直結するテーマです(水産物のフードロスの記事参照)。

食品ロスは陸の問題に見えて、海とも無関係ではありません。食べられずに捨てられる食品には、漁獲・養殖・加工・輸送に費やされたエネルギーと資源がまるごと含まれています。せっかく獲った魚が売れ残って廃棄されれば、その分だけ余計に獲る圧力が資源にかかります。食品ロスの削減は、水産資源への負荷をへらす「見えない漁業管理」でもあるのです。

食品リサイクル——廃棄を「ゼロにする」のではなく「循環させる」

どれだけ工夫しても、売れ残りや調理くずを完全になくすことはできません。そこで目標に組み込まれているのが食品リサイクル率です。2030年に70%、2050年に100%——つまり最終的には、発生した食品廃棄物をすべて飼料や肥料、エネルギーなどの資源として循環させることを目指しています。廃棄物の削減(発生原単位で2030年に50%減)とリサイクル(資源化率100%)の二本立てで、「減らしたうえで、残りは回す」という設計になっています。

CO2削減——店舗の省エネと再生可能エネルギー

CO2排出量削減では、店舗照明のLED化や太陽光パネルの設置、再生可能エネルギー由来電力の導入などが進められています。海水温の上昇や海洋酸性化は大気中のCO2増加が主因であり、店舗運営の脱炭素は巡り巡って海の生態系を守ることにつながります(CO2と海の関係は海洋酸性化とサンゴ礁の記事で解説しています)。目標は前述のとおり「2030年に50%削減(2013年度比)・2050年に実質ゼロ」へ引き上げられており、達成には店舗設備の更新と電力調達の転換を継続できるかがカギになります。コンビニは24時間営業で冷蔵・冷凍設備を動かし続ける、エネルギー消費の大きい業態です。裏を返せば、店舗の省エネと電力の切り替えが進んだときの削減インパクトも、それだけ大きいということです。

4テーマは互いにつながっている

  • 食品ロス削減 → 廃棄物の焼却が減り、CO2削減にも寄与
  • 容器の素材転換 → プラスチック対策とCO2削減の両方に効く
  • CO2削減 → 海水温上昇・海洋酸性化の抑制につながる

中立に見る——評価できる点と残された課題

ここまで実績を紹介してきましたが、SDGsの企業事例は「良い話」だけで終わらせず、課題もあわせて見ることが大切です。企業の環境宣言は、掲げること自体より検証可能な形で続けることのほうがずっと難しいからです。一次情報から読み取れる評価点と課題を整理します。

評価できる点

  • 4テーマすべてに期限付きの数値目標を設け、実績データを毎年開示している
  • CO2目標を発表後に引き上げるなど、水準を社会の要請に合わせて更新している
  • ペットボトル回収機を全47都道府県に広げ、市民が参加できる回収インフラを作った
  • CoC認証の取得により、店内加工品まで含めた認証水産物の販売体制を整えた

とくにペットボトル回収機は、企業のリサイクルを「工場の中の話」から「消費者が毎日参加できる仕組み」に変えた点で意義があります。環境活動は往々にして生活から遠い場所で行われますが、店頭に機械を置けば、リサイクルは買い物のついでの1分の行動になります。7億7,000万本という数字は、その1分の積み重ねです。

残された課題

  • 容器の環境配慮型素材化は約4割と報じられるが、2050年の100%までは素材技術とコストの壁が残る
  • ASC認証商品の比率は年度による変動が大きく(2023年度15.7%→2024年度5.0%)、安定調達が課題
  • 食品原材料全体の「持続可能性が担保された割合」の進捗は、品目ごとの開示がまだ限定的
  • コンビニ事業への集中というグループ再編のなかで、スーパー事業の取り組みをどう引き継ぐかが注視点

課題があること自体は、宣言の価値を下げるものではありません。むしろ、達成済みの目標だけを並べる報告より、未達の数字も含めて開示が続いていることのほうが、取り組みの本気度を測る材料になります。読者としては「数字が出ているか」「その数字は前年より動いているか」「動いていないなら理由が説明されているか」の3点をチェックすると、企業のSDGs情報を冷静に読み解けます。

読み解きの注意

本記事の数値は2026年8月時点で確認できた公式リリース・サステナビリティ報告・報道にもとづきます。企業の環境目標や組織体制は更新されることがあるため、最新の状況は必ず公式情報で確認してください。

私たちにできること——店頭は海への入り口

GREEN CHALLENGE 2050のような企業の宣言は、消費者が動いてはじめて実績になります。回収機にボトルを入れる人がいなければ「ボトルtoボトル」は回らず、認証商品を選ぶ人がいなければ売り場の認証比率は増えません。逆にいえば、コンビニやスーパーは誰にとっても一番近い環境行動の入り口です。特別な装備も知識もいらず、今日の買い物から始められることを挙げます。

  • 空のペットボトルは、キャップとラベルを外して店頭の回収機かお住まいの自治体回収へ
  • 魚を買うとき、パッケージのMSC・ASC認証ラベルを一度探してみる
  • レジ袋は断り、マイバッグを使う——辞退率8割の「残り2割」を減らす
  • 販売期限が近い商品の値引き・ポイント還元を前向きに活用して食品ロスを減らす
  • 企業のサステナビリティページを一度のぞき、目標と実績の差を自分の目で確かめる

こうした行動は、一つひとつは小さくても「投票」に似ています。認証商品が選ばれれば売り場は広がり、回収機が使われれば設置は増える——企業は売れるもの・使われるものに投資するからです。GREEN CHALLENGE 2050の2030年目標まで、残りはわずか数年。目標達成の最後のひと押しをするのは、実は毎日レジに立つ私たち自身なのかもしれません。

今日からのアクション

次にコンビニやスーパーへ行ったら、①ペットボトル回収機の場所を確認する、②魚売り場で認証ラベルをひとつ探す。この2つだけで、あなたの買い物は海とつながり始めます。

この記事のポイントを箇条書きでまとめた図版
この記事のポイント。詳しくは各章で解説している

まとめ

  • GREEN CHALLENGE 2050は、セブン&アイが2019年に発表した4テーマ・期限付き数値目標の環境宣言
  • ペットボトル回収は累計7億7,000万本・全47都道府県に到達し、ボトルtoボトルの循環が動いている
  • セブンプレミアムのMSC認証比率は15.0%(2024年度)まで上昇。CoC認証で店内加工品にも対応
  • 容器の100%環境配慮素材化や原材料調達など、2050年目標への道のりはまだ半ば
  • 回収機に入れる・ラベルを選ぶ・レジ袋を断る——消費者の行動が宣言を実績に変える

参考文献・出典

  1. セブン&アイ・ホールディングス – ニュースリリース「セブン&アイグループの環境宣言『GREEN CHALLENGE 2050』」(2019年5月8日)
  2. セブン&アイ・ホールディングス – サステナビリティ「持続可能な原材料の調達」(MSC・ASC認証比率の推移)
  3. セブン&アイ・ホールディングス – サステナビリティ「資源の有効活用」(ペットボトル回収量・レジ袋辞退率)
  4. セブン&アイ・ホールディングス – ニュースリリース「『MSC・ASC CoC認証』を取得」(2022年10月27日)
  5. セブン-イレブン・ジャパン – ペットボトル回収機の取り組み(ボトルtoボトルの仕組み)
  6. セブン-イレブン・ジャパン(PR TIMES) – 「ペットボトル回収機」の全都道府県への設置完了・累計回収7億7千万本突破(2025年)
  7. 内閣官房 – 脱炭素社会に向けたヒアリング資料「セブン&アイグループ 環境宣言GREEN CHALLENGE 2050」
  8. MSCジャパン – MSC認証水産物を広める企業の取り組み
  9. 流通ニュース – セブンイレブン/オリジナル商品で使う容器の4割を環境配慮型素材に変更

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