⚡ 30秒でわかる答え

  • い・ろ・は・す ラベルレスは、2020年4月発売のラベルを貼らない天然水で、ボトルは100%リサイクルPETです。
  • ロゴと識別マークはボトルの凹凸で表示し、法定表示は外装段ボールに記載する設計です。
  • 日本のペットボトル回収率は92.5%ですが、ボトルtoボトル比率は33.7%にとどまります。
  • 分別の手間は減りますが、海への流出を止めるにはポイ捨て防止などの対策も必要です。
100%
ボトルに使うリサイクルPETの割合
92.5%
日本のペットボトル回収率(2023年度)
33.7%
ボトルtoボトル比率(2023年度)

「い・ろ・は・す 天然水 ラベルレス」は、ボトルにラベルを一切貼らず、素材は100%リサイクルPETを使った商品です。2020年4月に発売され、「はがす手間のない水」として注目されました。

ペットボトルは回収率が9割を超える日本でも、ポイ捨てなどで海に流れ出す例があり、海洋プラスチック問題の身近な象徴です。ラベルレスと再生素材という二つの工夫は、この問題にどこまで効くのでしょうか。

この記事では、公式発表と公的機関のデータをもとに、仕組みの利点と限界を中立に整理します。

この記事で学べること

  • い・ろ・は・す ラベルレスの仕様と発売の経緯
  • ラベルを無くす狙いと分別への効果
  • ボトルtoボトルの仕組みと日本の現状数値
  • 海洋プラスチック問題への効果と限界
  • 環境配慮ボトルを選ぶときの比較の視点

「い・ろ・は・す」ラベルレスとは何か:商品の基本をおさらい

コカ・コーラシステム初の完全ラベルレス

「い・ろ・は・す 天然水 ラベルレス」は、コカ・コーラシステムが2020年4月から全国で順次発売した、ボトルにラベルを一切貼らない天然水です。容器には「い・ろ・は・す」のロゴやリサイクル用の識別マークを、ペットボトル本体の凹凸(エンボス)で表現しています。従来はラベルに印刷していた原材料名などの法定表示は、24本入りの外装段ボールに記載する設計です。

発売時の仕様は、560mlのPETボトルが24本入りのケース販売のみ、メーカー希望小売価格は2,880円(税別)でした。販路はオンライン、スーパー、ドラッグストア、ディスカウントストアです。さらに、4月1日の充填分からは、識別マークを表示するタックシールも省略され、名実ともに「完全ラベルレス」となりました。

100%リサイクルPETという二つ目の柱

ラベルレスと並ぶもう一つの特徴が、ボトル本体に100%リサイクルPET素材を使っている点です。使用済みのペットボトルを回収し、再びペットボトルへ生まれ変わらせる「ボトルtoボトル」と呼ばれる水平リサイクルで、新たな石油由来のPET樹脂を使わずにボトルを作ります。コカ・コーラ ボトラーズジャパンの公表では、「い・ろ・は・す」は2020年3月に再生素材30%から100%リサイクルPETへ切り替えられたと説明されています。

項目内容
商品名い・ろ・は・す 天然水 ラベルレス
発売2020年4月から全国で順次
容量・入数560ml × 24本(ケース販売のみ)
希望小売価格2,880円(税別)
ボトル素材100%リサイクルPET(ボトルtoボトル)
表示ロゴ・識別マークはエンボス加工。法定表示は外装段ボール
発売時の基本仕様(日本コカ・コーラ発表資料より)

この記事のスタンス

  • 特定商品の購入を勧めるものではありません。公式発表と公的機関のデータをもとに、仕組みの利点と限界を中立にまとめています。

なぜ「ラベルを無くす」のか:分別の手間と資源の両面から

ラベルは「はがす」が前提のパーツだった

日本のペットボトル回収は、キャップとラベルをはがし、中を軽くすすいでから出すのが基本です。ラベルは素材がPETとは異なるプラスチックフィルムであることが多く、ボトルと一緒にリサイクルすると品質低下の原因になります。そのため、ラベルをはがす作業は、家庭の分別でも自治体の選別でも欠かせない工程でした。

ラベルレスは、この「はがす」工程そのものを無くす発想です。コカ・コーラシステムは発売時、ラベルをはがす手間がなくなり、プラスチックごみを減らし、ごみの分別も楽になる点を狙いとして説明しています。使う人の行動負担を減らすことで、正しい分別を続けやすくする効果が期待できます。

使う素材の総量が減る

ラベル自体が不要になれば、フィルム素材とその印刷に使う資源の分だけ、製品1本あたりの使用資源が減ります。ただし、公式発表にはラベル削減による具体的な重量(グラム数)の記載が見当たらないため、この記事では「減る方向に働く」にとどめ、数値の断定は避けます。

  • 利用者側:ラベルをはがす作業が不要になり、分別の手間が減る
  • 回収側:ラベルの混入や剥がし残しが減り、選別しやすくなる
  • メーカー側:ラベル資材の調達と貼付工程が不要になる

補足:識別マークはどうなる?

  • リサイクルの識別マークは法令で表示が求められる項目です。ラベルレスでは、ボトルのエンボスで表示する形に切り替えて対応しています。

100%リサイクルPETの仕組み:ボトルtoボトルを読み解く

リサイクルの2つのルート

使用済みペットボトルの再生には、大きく2つの道があります。1つは、繊維やトレー、シートなどPET以外の製品に作り替える「カスケードリサイクル」。もう1つは、再びペットボトルへ戻す「ボトルtoボトル(水平リサイクル)」です。前者は一度使うと繊維などになり、その先は再びボトルに戻りにくいのに対し、後者は資源が「ボトル→ボトル」と循環し続けられます。

PETボトルリサイクル推進協議会の公表(2023年度実績)では、ペットボトルの回収率は92.5%、リサイクル率は85.0%、そのうちボトルtoボトルの比率は33.7%とされています。つまり、集めた量は多い一方で、同じ用途に戻る割合はまだ3分の1程度という段階です。

指標(2023年度)数値出典
回収率92.5%PETボトルリサイクル推進協議会
リサイクル率85.0%同上
ボトルtoボトル比率33.7%同上
日本のペットボトルリサイクルの現状

清涼飲料業界の目標

清涼飲料業界は、2030年までにボトルtoボトル比率50%を目指す宣言を出しています。ボトルtoボトル用のリサイクルPET樹脂の国内供給能力は、2024年末時点で年間約37万3,000トンになる見込みと報じられました。需要が増えるほど、「質の高い使用済みボトルをどれだけ集められるか」が競争の焦点になります。

コカ・コーラシステムは2020年のリサイクル樹脂使用率が清涼飲料事業全体で28%だったと公表し、2030年にはペットボトルを100%サステナブル素材へ切り替え、新たな石油由来原料の使用ゼロを目指すとしています。「い・ろ・は・す」の100%リサイクルPETは、この目標に先駆けた旗艦商品の位置づけです。

使用済みペットボトルが回収・洗浄・再生され、再びボトルに戻る循環のイメージ図
ボトルtoボトルの循環イメージ(AI生成イラスト)

ここがポイント

  • 「100%リサイクルPET」は、使用済みボトル由来の樹脂だけでボトルを作るという意味です。回収されたボトルの質と量があって初めて成り立つ仕組みです。

ブランドの歩み:「い・ろ・は・す」が目指してきた軽さと循環

軽量・つぶしやすいボトルから始まった

「い・ろ・は・す」は、コカ・コーラシステムが展開するミネラルウォーターのブランドで、発売当初から「つぶして小さくできる軽いボトル」を特徴として打ち出してきました。ボトルを軽くすれば、素材の使用量が減るだけでなく、運ぶときの重量も軽くなり、輸送時のエネルギー削減にもつながります。つぶしやすい設計は、家庭ごみとして出す際のかさばりを減らし、回収の効率にも貢献します。

ただし、発売当初の具体的なボトル重量については、現時点で確認できる公式資料が限られるため、本記事では数値を断定しません。確かなのは、「軽さ」という設計思想が、のちのラベルレスや再生素材の採用へと一本の線でつながっている点です。

2020年:再生素材とラベルレスが同じ年に重なる

転機は2020年でした。3月に「い・ろ・は・す 天然水」が100%リサイクルペットボトルへ切り替わり、4月にはラベルを貼らない「い・ろ・は・す 天然水 ラベルレス」が発売されました。再生素材の100%化とラベル廃止が同時期に実現したことは、コカ・コーラシステムが2018年に打ち出したグローバルプラン「World Without Waste(廃棄物ゼロの世界)」の具体策の一つでした。

このプランは、「設計」「回収」「パートナー」という三つの柱で成り立っています。容器の設計を見直し、使用済み容器を回収し、企業や行政、地域と協力して廃棄物問題に取り組むという考え方です。ラベルレスは「設計」の柱を、ボトルtoボトルは「設計」と「回収」の柱をそれぞれ体現しています。

柱内容「い・ろ・は・す」での具体例
設計容器を再生しやすく作るラベルレス、100%リサイクルPET、軽量化
回収使用済み容器を集めるボトルtoボトルで回収資源を再びボトルへ
パートナー企業・行政・地域との協力自治体の分別回収や業界団体の取り組み
World Without Wasteの三つの柱と商品への当てはめ

その後の広がり

コカ・コーラ ボトラーズジャパンの公表によれば、ラベルレスの展開は2024年12月時点で8ブランド・42商品にまで広がっています。当初は「い・ろ・は・す」単独の取り組みだったものが、ほかのブランドにも波及してきたことがわかります。一つの商品での実験が、会社全体の標準仕様へと育っていく過程と言えます。

用語メモ:サステナブル素材

  • コカ・コーラシステムでいう「サステナブル素材」は、リサイクル樹脂や植物由来樹脂などを指します。2030年にはペットボトルを100%サステナブル素材へ切り替え、新たな石油由来原料の使用ゼロを目指すとしています。

よくある疑問を整理:ラベルレスとリサイクルPETのQ&A

ラベルが無いと中身がわからなくて不安では?

ボトル本体にはロゴと識別マークがエンボスで表されており、商品名はわかります。原材料名や栄養成分などの法定表示は外装の段ボールに記載されるため、ケースで買う場合は段ボールを確認できます。バラ売りでは、売り場で表示シールを貼るなどの対応が取られています(2023年の350mlの店頭販売の例)。

「100%リサイクル」なら、新しい資源は全く使わないの?

ボトル本体の樹脂については、使用済みボトル由来の再生樹脂のみを使うという意味です。ただし、キャップなどの部品、工場での加工、輸送には別の資源やエネルギーが必要です。「ボトルの樹脂」と「製品全体」を分けて考えるのがポイントです。

ラベルレスにするとコストは上がる?

公式発表には、価格差に関する詳細は記載されていません。発売時の希望小売価格は560ml×24本で2,880円(税別)でしたが、同じ条件の他商品との比較は店舗や時期で変わるため、ここでは評価を控えます。

ほかの飲み物でも同じ工夫は進んでいる?

コカ・コーラシステムでは、2023年に350mlのコカ・コーラのラベルレスボトル、2025年に500mlのコカ・コーラとコカ・コーラ ゼロのラベルレスボトルが登場しました。いずれも100%リサイクルPETを使用しています。水に限らず、炭酸飲料でも同じ設計思想が広がっています。

結局、環境にはどのくらい効くの?

公式発表に、ラベル削減によるCO2削減量や樹脂削減量の具体的な数値は載っていません。したがって、「どのくらい」を断定することはできません。確かに言えるのは、方向性として、①ラベル資材の削減、②分別の手間の軽減、③再生素材の活用、の3点が資源循環に寄与するという点までです。数値を知りたい場合は、各社のサステナビリティレポートの最新版を確認するのが確実です。

情報を読むときのコツ

  • 環境配慮をうたう表示では、「何が」「どれだけ」「いつと比べて」改善されたのかが示されているかを確認しましょう。数値が無い場合は、効果を断定せず、方向性のみを受け止めるのが適切です。

軽量化の歩み:ボトルを「薄く・小さく」する工夫

コカ・コーラシステム全体の軽量化の実績

ラベルレスと並行して、容器そのものを軽くする取り組みも進んでいます。コカ・コーラ ボトラーズジャパンの公表では、2021年にコカ・コーラ700mlのボトルが42gから27gへ軽量化され、2022年には350mlのラベルレスボトルで2g削減して21gになりました。2030年に、2004年比でボトル1本あたりのPET樹脂使用量を35%削減する目標も掲げています。

ここで注意したいのは、これらの数値が「い・ろ・は・す」そのものではなく、コカ・コーラシステム全体の取り組み事例だという点です。「い・ろ・は・す」は発売当初から、軽くてつぶしやすいボトルを特徴にしてきたブランドですが、現行560mlボトルの重量は公式資料で確認できなかったため、この記事では数値を載せません。

年取り組み数値
2020年3月い・ろ・は・す天然水が100%リサイクルPETへ再生素材30%→100%
2020年4月い・ろ・は・す 天然水 ラベルレス発売560ml×24本
2021年コカ・コーラ700mlの軽量化42g→27g
2022年350mlラベルレスボトルの軽量化2g削減(21g)
2024年12月ラベルレスの展開範囲8ブランド42商品
コカ・コーラ ボトラーズジャパン公表の年表(一部を抜粋)

軽くすることのトレードオフ

ボトルは薄くするほど資源は減りますが、強度や輸送中の変形、リサイクル樹脂の品質との兼ね合いが問われます。ラベルレスで外装が簡素になる分、段ボールに情報を持たせるなど、製品全体で設計を組み替えているのがこの商品の特徴です。

この記事の要点となる3つの数字をまとめた図版
数字で見る:本文で扱う3つの指標

使う側の体験:どこで買えて、どう分別するのか

買い方の特徴:ケース販売が前提だった

発売当初のラベルレスは、24本入りのケース販売のみでした。法定表示を外装に載せる設計だったため、ばら売りができなかったためです。そのため、1本ずつ気軽に買う場面ではなく、まとめ買いの家庭用・備蓄用が中心でした。ネットスーパーやドラッグストアでのケース購入が主な入り口です。

その後、コカ・コーラシステムはラベルレス商品の販売方法を広げています。2023年5月29日からは、350mlのラベルレスボトルが、全国のスーパー・ディスカウントストア・ドラッグストアで期間限定の店頭販売を開始し、表示シールを貼ることで1本単位の販売も可能になりました。2025年5月1日には、コカ・コーラとコカ・コーラ ゼロの500mlラベルレスボトルも登場しています。

  • まとめ買い:外装段ボールに法定表示があるので、保管時は段ボールを捨てない
  • 1本売り:表示シールが貼られる形で、売り場の対応が広がりつつある
  • 分別:ラベルをはがす必要がないので、キャップを外してすすぎ、回収に出せばよい

分別のコツ:自治体のルールを優先

ラベルレスでも、キャップを外し、中を軽くすすぐという基本は変わりません。キャップは別の素材のため、お住まいの自治体のルールに従って分けてください。ラベルレスボトルは、そのまま「ペットボトル」として出せるのが利点です。

今日からできること

  • ラベルレス商品を選ぶ・選ばないにかかわらず、飲み終えたボトルは「キャップを外す・中をすすぐ・自治体ルールで分ける」の3手順で、再びボトルに戻る資源として回収につなげられます。
ラベルのないペットボトルと、ラベル付きボトルを分別する手順の比較イメージ
ラベルがないと分別の工程が1つ減る(AI生成イラスト)

海洋プラスチック問題との関係:何が減り、何が残るのか

海に流れ込むプラスチックの現状

海洋プラスチックごみの多くは、陸上で発生した容器包装などが川や海岸を通じて海へ流れ出たものです。ペットボトルは回収率が9割を超える日本でも、ポイ捨てや風雨による流出がゼロにはなっていません。海岸の漂着物調査でも、ペットボトルは繰り返し上位に挙がります。

流出したボトルは、紫外線や波で細かく砕け、5mm未満のマイクロプラスチックになります。ラベル用のフィルムも同様に、風に飛ばされやすい軽い破片として散らばりがちです。ラベルが無い設計は、少なくとも「ボトル本体以外の軽い破片」を出しにくくする効果が考えられます。

ラベルレスと100%リサイクルは「入口」と「出口」の対策

100%リサイクルPETは、新しい石油由来樹脂を使わないという「入口(資源)」の対策です。ラベルレスは、分別しやすさという「出口(回収)」の対策です。どちらも、回収された後の循環を良くする取り組みであり、海への流出そのものを止める直接的な効果は限定的です。

注意したい点

  • リサイクルPETを使ったボトルでも、ポイ捨てされれば海洋ごみになります。素材の工夫は、確実な回収・適切な廃棄とセットで初めて効果を発揮します。

日本は、ごみが川から海へ運ばれる経路が長いため、街中の回収と河川での流出防止が重要です。詳しくは川から海へ流れ出すプラスチックごみの記事も参考にしてください。

  • 入口の対策:再生素材の使用、軽量化、ラベル削減
  • 出口の対策:分別しやすい設計、回収率の向上
  • 流出防止:ポイ捨て防止、河川・海岸での清掃活動

類似商品との比較:他社のラベルレス・再生素材ボトル

各社が進めるラベルレス・再生ボトル

ラベルレスやリサイクルPETの採用は、コカ・コーラシステムだけの取り組みではありません。ほかの飲料メーカーも、ラベルを省く商品や再生素材ボトルを展開しています。比較する際は、「何を、どのくらい減らしたのか」という具体的な範囲を確認することが大切です。

同じラベルレスの事例として、アサヒ飲料のラベルレスボトルについてはアサヒのラベルレスボトルとはで、100%リサイクルPETの展開はコカ・コーラの100%リサイクルPETボトルやサントリー天然水のペットボトルの記事で解説しています。

比較の視点チェックするポイント
ラベルの有無ボトル単体でラベルがないか。外装やシールで代替していないか
再生素材の割合「100%」か「一部」か。バージン樹脂や植物由来の併用はあるか
販売形態ケースのみか、ばら売りが可能か
軽量化現行ボトルの重量や削減率が公表されているか
公表資料自社のサステナビリティ資料で数値が確認できるか
環境配慮ボトルを比べる5つの視点

選ぶときの基準

  • 「ラベルレス」「100%リサイクル」の表示だけで判断せず、どの工程でどれだけ減ったのか、公式の数値で確認する習慣が、グリーンウォッシュを避ける近道です。
環境配慮型ペットボトルを選ぶ際に見る視点を示した、チェックリスト風のイメージ
買う前に確認したいポイント(AI生成イラスト)

課題と限界:ラベルレス・リサイクルPETの「その先」

課題1:再生素材の確保と品質

100%リサイクルPETを安定して作るには、品質の良い使用済みボトルを十分な量集める必要があります。ボトルtoボトルの比率が3割台にとどまる現状では、需要が増えるほど、回収ボトルの奪い合いが生じる可能性があります。回収の質を上げる、ラベルレスのような分別しやすい設計が重要になる理由です。

課題2:リサイクルの回数と劣化

PETは繰り返しリサイクルできる素材ですが、再生のたびに品質が少しずつ落ちるため、無限に循環するわけではありません。高品質の再生には、洗浄や除去の技術が欠かせず、エネルギーや水も使います。ライフサイクル全体で環境負荷を評価する視点も必要です。

課題3:消費者の行動に依存する

どれだけ設計が優れていても、飲み終えたボトルが回収ルートに乗らなければ、循環は途切れます。外出先でのごみ箱の設置、リユース容器の選択肢、マイボトルの活用など、「そもそも使い捨てを減らす」選択肢も併せて考える必要があります。

  • 再生素材の確保:回収量・品質の安定が前提
  • 劣化と技術:再生にはエネルギーと設備投資が必要
  • 使い捨て自体の削減:マイボトル・リフィルとの併用が効果的

まとめ

  • ラベルレスと100%リサイクルPETは、分別のしやすさと資源循環の両面で有効な一歩ですが、使い捨て容器そのものの量を減らす取り組みと組み合わせて初めて、海を守る力になります。
この記事のポイントを箇条書きでまとめた図版
この記事のポイント。詳しくは各章で解説している

私たちにできること:ボトルとの付き合い方を見直す

買い方・使い方の3ステップ

環境配慮型の商品を選ぶことは、メーカーへの「こうした商品を求めている」という意思表示にもなります。ただし、一番の削減は「使い捨てを減らす」ことです。次の3ステップを、生活の中で無理のない範囲から始めてみてください。

  1. マイボトルや水筒を日常の主役にし、外出先の給水スポットを活用する
  2. ペットボトルを買うときは、再生素材・ラベルレスなど、公式の数値で確認できる商品を選ぶ
  3. 飲み終えたら、キャップを外し、すすいで、自治体のルールで分別する

海を守る活動への参加

日常の選択に加えて、海岸清掃や河川のごみ拾いへの参加も、流出した容器を回収する直接の行動です。地域の清掃活動に参加すると、どんなごみが多いかを実際に目にすることができ、買い物の選択にも変化が生まれます。ペットボトルの水平リサイクルの全体像はボトルtoボトル水平リサイクルとはで詳しくまとめています。

行動チェックリスト

  • □ マイボトルを1本用意する □ ラベル・キャップを外してすすぐ習慣をつける □ 年に1回は地域の清掃活動に参加する

参考文献・出典

  1. コカ・コーラシステム、ラベルレス「い・ろ・は・す 天然水 ラベルレス」発売(日本コカ・コーラ) – 2020年4月発売のプレスリリース
  2. 設計|サステナビリティ(コカ・コーラ ボトラーズジャパン) – ラベルレス・軽量化・リサイクルPETの取り組み
  3. 完全ラベルレス「い・ろ・は・す」(日本食糧新聞) – タックシール省略と容器デザイン
  4. い・ろ・は・す、100%リサイクルの次世代ペットボトルに(Impress Watch) – 2020年3月の100%リサイクルPET導入
  5. ラベルレスボトル「コカ・コーラ」500mlPET発売(日本コカ・コーラ) – 2025年5月1日発売
  6. PETボトルリサイクル推進協議会 – 回収率・リサイクル率・ボトルtoボトル比率
  7. 環境省 プラスチック資源循環 – プラスチック資源循環戦略と制度

※ 信頼性の高い順に配列:政府機関・学術機関 > 査読済み論文 > 専門機関 > 信頼できるメディア