⚡ 30秒でわかる答え

  • Bureo NetPlusは、使用済みの漁網を100%原料にしたナイロン6やHDPEの再生素材で、衣類・サングラス・スケートボードなどに使われています。
  • 回収プログラムNet Positivaは、漁師へ網の代金を払う、または寄付が地域の環境団体の資金になる仕組みで、海に捨てない動機をつくります。
  • 公式の累計回収量は1,700万ポンド(約7,700トン)以上ですが、時期により公表値が異なるため、出典と時点の確認が必要です。
  • 製品を選ぶ際は、再生素材の割合、GRSなどの認証、回収の流れの説明を確認するとグリーンウォッシュを避けやすくなります。
1,700万lb超
Bureoが2013年以降に回収した廃漁網の累計(公式公表)
2013年
チリで漁網の回収・再生を開始した年
約5.7%
世界の漁網が毎年失われる割合の推定(2022年研究)

チリ発のBureo(ブレオ)は、海で役目を終えた漁網を回収し、NetPlus®という再生素材に変える企業です。サングラスやスケートボード、水着などに使われ、「幽霊漁具」という海の課題への解決策として注目されています。

漁網はナイロンなどの合成樹脂でできており、海に残ると生き物を絡めとったり、マイクロプラスチックになったりします。回収した網に価格をつけ、素材として使う企業を増やすことで、問題の解決につなげようとするのがBureoの考え方です。

この記事では、公式情報や研究論文などの公表情報をもとに、NetPlusの仕組み、実績、製品例、選ぶときの視点を整理します。数字は時点や出典によって異なるため、引用元を明記しながら読み解きます。

この記事で学べること

  • Bureo NetPlusがどんな素材かが分かる
  • Net Positivaの回収の仕組みが分かる
  • 幽霊漁具の規模と数字の読み方が分かる
  • NetPlusが使われる製品の例が分かる
  • 認証とグリーンウォッシュの見分け方が分かる

Bureo NetPlusとは?廃漁網を素材に変える挑戦

Bureo(ブレオ)というブランドの成り立ち

Bureo(ブレオ)は、チリを拠点に始まった、廃棄された漁網を回収して再生素材にする企業です。社名は、チリ南部の先住民マプチェの言語マプドゥングンで「波」を意味するとされています。創業者はBen Kneppers、David Stover、Kevin Ahearnの3人で、いずれもアメリカの海辺で育った友人同士だと報じられています。

同社が漁網の回収を始めたのは2013年です。国際環境NGOコンサベーション・インターナショナルのCI Venturesのページによると、パタゴニアのベンチャー投資部門Tin Shed Venturesの支援を受けて、チリで漁網のリサイクルを始めたと説明されています。最初の製品は、漁網由来の素材をデッキに使った魚形のスケートボード「Minnow(ミノー)」でした。

NetPlus®は「100%使用済み漁網」の素材

Bureoが回収した網から作る素材のブランド名がNetPlus®です。公式のImpactページは、NetPlusを「100%ポストコンシューマー(使用済み)の漁網」からつくる素材だと説明しています。工場で出る端材ではなく、実際に漁で使われ、役目を終えた網が原料だという点が特徴です。

素材の種類は大きく分けて2系統あります。衣類や布製品に使うナイロン6の再生繊維と、帽子のつばやハードグッズなど射出成形に使う高密度ポリエチレン(HDPE)です。同じ「漁網」でも、網の素材によって向いた用途が異なります。

この記事の見どころ

  • NetPlusとは何か、どんな仕組みで漁網が集まるのか
  • 幽霊漁具(ゴーストギア)という課題の大きさ
  • どんな製品に使われ、私たちは何を選べるのか
  • 数字の読み方と、グリーンウォッシュを避ける視点
海岸に積まれた古い漁網と回収する人々のイメージ
役目を終えた漁網を海辺で集める回収のイメージ

なぜ漁網は再生素材に向いているのか

漁網の主な素材であるナイロン(ポリアミド)は、加熱すると溶けて形を変えられる「熱可塑性」の樹脂です。そのため、集めた網をきれいにして細かく砕き、溶かして糸や成形品に作り直す「マテリアルリサイクル(機械的再生)」と相性がよいとされています。強度や耐久性が高い素材は、海で長く使えるよう設計されているので、再生後も衣類やアイウェアのような丈夫さが求められる用途に向きます。

ただし、使用済みの網は、砂や塩分、貝殻、藻類、ほかの樹脂の混入などで品質がばらつきやすい素材でもあります。再生の質を保つには、洗浄と選別の工程が重要で、ここに人手と設備が必要になります。Bureoが現地に回収拠点を置き、仕分けの雇用を生み出すことを重視しているのは、そのためです。

  • 熱可塑性樹脂のため、溶かして再成形できる
  • 強度が高く、衣類・アイウェア・成形品に使いやすい
  • 汚れや異素材の混入が品質を左右するため、洗浄・選別が要になる

Bureoと日本のつながり

Bureo公式のImpactページは、チリ、エクアドル、ペルー、メキシコ、アルゼンチンに加えて日本にも活動が広がっていると記しています。日本は漁業が盛んな島国で、養殖や沿岸漁業で使う網やロープも多く、回収・再生の需要がありそうな地域です。ただし、日本での具体的な回収量や仕組みは、公式に詳しく示されているわけではないため、この記事では断定を避けます。今後の発表に注目したいところです。

なぜ漁網が問題になるのか:幽霊漁具という課題

海に残る漁具は「ゴーストギア」と呼ばれる

漁で使う網・ロープ・かご・釣り糸などが、破損や悪天候、操業中のトラブルなどで海に残ったものを、ALDFG(遺棄・紛失・投棄漁具)や、俗に「幽霊漁具(ゴーストギア)」と呼びます。人が管理しなくなった後も、魚やウミガメ、海鳥、海生哺乳類を絡めとる「ゴーストフィッシング」を続けることがあります。

多くの現代の漁具はナイロンなどの合成樹脂でできており、自然に分解されにくいのが特徴です。時間とともに細かく砕ければ、今度はマイクロプラスチックとして海に残り続ける可能性もあります。Bureoが漁網を「最も有害な海洋プラスチックの一つ」と位置づけているのは、こうした背景があるためです。

よく引用される数字と、その注意点

国連環境計画(UNEP)と国連食糧農業機関(FAO)が2009年にまとめた報告書をもとに、「毎年64万トンの漁具が海に失われる」という数字が広く引用されてきました。ただし、この数字は後の研究で「根拠が弱く、報告書自体が明記した数字ではない」と指摘されています。

2022年に科学誌『Science Advances』に出た研究では、世界の漁業からのデータをもとに、漁具の紛失率を推定しています。同研究によると、毎年失われる割合は、網で約5.7%、わな・かごで約8.6%、釣り糸で約29%と見積もられました。いずれも推定であり、地域や漁法で大きく異なる点には注意が必要です。

漁具の種類年間の紛失率(推定)備考
漁網約5.7%2022年の研究による世界推定
わな・かご約8.6%同上
釣り糸(ライン)約29%同上
世界の漁具の年間紛失率の推定(Richardsonらの2022年の研究より)

数字を使うときの注意

  • 「64万トン」は広く引用されるが、出どころを確かめて使う
  • 紛失率は世界平均の推定で、地域差が大きい
  • どの数字も「問題の大きさを知る目安」であり、確定値ではない

関連する背景は、既存記事のゴーストギア(幽霊漁具)の記事で詳しく解説しています。

生き物と生態系への影響

放置された網は、魚やウミガメ、海鳥、クジラやイルカなどの海生哺乳類が絡まる原因になります。絡まった生き物は、動けなくなったり、傷が深くなったり、息継ぎができなくなったりして命を落とすことがあります。網に掛かった生き物が、さらに他の生き物を引き寄せる連鎖が起きることも、ゴーストフィッシングの問題点として指摘されています。

さらに、サンゴ礁や岩礁、藻場などに網が絡みつくと、生息環境そのものを傷つける場合があります。また、船のスクリューにロープや網が絡まる事故は、漁業者や船舶の安全にも関わります。幽霊漁具は、海の生き物だけでなく、海を使う人の暮らしにも影響する課題です。

日本の海辺にとっても他人事ではない

日本の海岸でも、漂着ごみの中には漁網やロープ、ブイ、カキ養殖で使うパイプなど、漁業由来のものが見られます。地域によっては、漂着ごみの中で漁具が目立つ海岸もあります。ただし、割合は調査場所や時期で大きく変わるため、一概には言えません。海辺のごみの出どころを知るには、環境省などが公表している漂着ごみ調査の結果を、地域別に確認するのが確実です。

用語メモ

  • ALDFG:遺棄・紛失・投棄された漁具の総称
  • ゴーストフィッシング:放置された漁具が生き物を捕らえ続ける現象
  • ポストコンシューマー:消費者や事業者が使い終えた後の廃棄物由来の素材

回収の仕組み:Net Positivaとは何か

漁師にとってのメリットをつくる

Bureoの漁網回収プログラムはNet Positiva(ネット・ポジティバ)と呼ばれています。公式のImpactページによると、地元の小規模漁業者や商業漁業者と連携し、使い終えた網を引き取って洗浄・選別したうえで再生素材にします。

特徴は、回収に参加した人に経済的なメリットが生まれる設計です。公式の説明では、収入の低い漁業者には網の代金が直接支払われ、商業漁業の事業者は網を寄付して、その分が地域の環境団体の活動資金になるとされています。「ごみを回収してもらう」だけでなく、「網に値段がつく」ことで、海に捨てるより持ち込む方が得になる仕組みをつくろうとしています。

洗浄・選別・再生という流れ

  1. 漁村や港に回収拠点を置き、漁師から使用済みの網を受け入れる
  2. 砂や塩、貝殻などの汚れを落とし、素材の種類ごとに仕分ける
  3. ナイロンやHDPEなどの素材別にチップ状のペレットへ加工する
  4. ブランドや工場に素材として供給し、衣類・スケートボード・サングラスなどにする

網は海水や砂、貝類の付着で重くなりやすく、洗浄と選別に手間がかかります。素材が混ざると品質が落ちるため、現地の人手による丁寧な仕分けが、再生素材の品質を左右するとされています。

この記事の要点となる3つの数字をまとめた図版
数字で見る:本文で扱う3つの指標

回収と再生の仕組みは、既存記事の漁網リサイクルの記事でも整理しています。

「地域の雇用」としての側面

Bureoが公表している目標には、新しい雇用の創出が含まれています。回収拠点では、網の受け入れ、計量、洗浄、仕分け、梱包といった作業が発生します。漁業が盛んな地域に、漁以外の仕事が生まれることは、収入の変動が大きい漁村にとって意味があります。

一方で、仕組みを持続させるには、買い取り価格や輸送コストのバランスが欠かせません。漁村は都市や港から離れていることが多く、重くかさばる網を運ぶ物流費がかかります。再生素材の売上が、回収と加工のコストを上回らなければ、仕組みは長続きしません。企業が実際の収支や雇用の実績を公開しているかどうかも、取り組みを評価するときの視点になります。

回収の仕組みが続く条件

  • 網に適正な価格がつき、漁師が持ち込みやすい
  • 回収・輸送・洗浄のコストを素材の売上でまかなえる
  • 素材を買ってくれる企業や消費者がいる

回収に関わる人の立場を考える

回収の仕組みには、網を持ち込む漁師、網を受け入れて仕分ける現地スタッフ、素材を加工する工場、素材を使うブランド、製品を買う消費者という複数の立場の人が関わります。誰か一人でも欠けると、全体の流れは止まってしまいます。たとえば、漁師にとって持ち込むのが面倒であれば網は海に残り、素材の買い手がいなければ回収した網は在庫になります。仕組みの強さは、一番弱い輪で決まるといえます。

だからこそ、Bureoのように「漁師への支払い」「地域団体への寄付」「ブランドとの協業」を一体で設計することには意味があります。もちろん、実際の支払い額や寄付額の水準までは公表情報から確認しきれないため、その点は今後の情報公開を見守る必要があります。

数字で見るBureoの回収実績

公表値は時期によって異なる

Bureoの公式Impactページでは、2013年以降に1,700万ポンド(約7,700トン)以上の廃棄漁網を回収して再生に回したとされています。一方、CI Venturesのページには「720万ポンド超を62の漁業コミュニティなどから回収し、1,300万点以上の製品に使われた」とあり、同じ企業の数字でも掲載時期によって異なります。

これは矛盾というより、年を追って累計が増えた結果と考えられます。ただし、ウェブ上の数字は更新日が分かりにくいため、引用するときは「どのページの、いつ時点の数字か」を明記するのが安全です。

項目公表内容出典
累計の回収量1,700万ポンド以上(約7,700トン)Bureo公式Impactページ
以前の累計720万ポンド超・62の漁業コミュニティCI Ventures
製品点数1,300万点以上(当時)CI Ventures
回収開始2013年(チリ)CI Ventures
認証B Corp、GRS(Global Recycled Standard)Bureo公式
Bureoの回収実績と認証(公表内容)

2026年に向けた目標

CI Venturesのページによると、同社は500,000ドルの投資を受け、ペルー、エクアドル、メキシコでの回収拠点の整備を進めると説明されています。目標としては、2026年までに年間の回収量を800トンから4,000トンへ増やし、25人以上の新しい雇用をつくり、34,500トンの温室効果ガス排出を回避するとしています。

これらは企業側が掲げる目標値で、達成状況は第三者の検証結果で確かめる必要があります。この記事の執筆時点で、目標の達成を裏づける独立した報告までは確認できませんでした。

数字を読むときのポイント

  • 累計値は「いつ時点か」を確認する
  • 回収量は網の重さであり、海から減った量そのものではない
  • 目標値と実績値は分けて考える

数字を身近な単位に置き換えてみる

1ポンドは約0.4536キログラムです。この換算を使うと、公式が示す1,700万ポンドは約770万キログラム、つまり約7,700トンに相当します。これは、大型トラック(積載量10トン前後)で約770台分という大きさです。ただし、網の重さは水分や付着物を含むかどうかで変わるため、あくまで目安です。

また、スケートボード1枚に使う約30平方フィートの網は、約2.8平方メートルで、畳でいえば約1.7畳ほどの広さです。もちろん、網の厚みや目の大きさで重さは変わりますが、数字を身近な大きさに置き換えると、取り組みの規模を想像しやすくなります。

回収量と製品点数を混同しない

「1,300万点以上の製品」は製品の個数で、「ポンド」は回収した網の重量です。製品点数が多くても、帽子のつばのように1点あたりの使用量が少ないものと、衣類のように多いものがあるため、点数だけでは環境への貢献度は測れません。重量で見るのか、点数で見るのかを揃えて読むのが基本です。

企業の公表情報を読むときの姿勢

企業が公表する実績は、取り組みを知る大切な手がかりです。ただし、公式サイトの数字は広報の側面もあり、集計の範囲(どの国・どの期間か)や算出方法が必ずしも明記されていません。一次情報としての公式ページに加えて、投資家やNGOなど第三者の資料、報道、認証機関の情報を組み合わせて読むと、全体像が見えやすくなります。この記事でも、公式ページとCI Venturesのページを併用し、数字の違いは違いのまま示しました。

海の課題に取り組む企業は多く、どれも「良いこと」に見えがちです。だからこそ、数字の出どころ、時点、範囲を確かめる習慣が、情報を正しく受け取る力になります。海ラボでは今後も、事実と推定、企業の主張と第三者の確認を分けて紹介していきます。

NetPlusはどんな製品に使われているのか

スケートボードから衣類・アイウェアへ

最初の製品は、2013年にクラウドファンディングのKickstarterで資金を集めたスケートボード「Minnow」でした。ボード1枚をつくるのに、約30平方フィート(約2.8平方メートル)の漁網が使われると紹介されています。

その後、NetPlusは次第に用途を広げています。サングラスでは、アメリカのブランドCosta Del Marが2018年にBureoと組んだ「Untangled」コレクションを発表し、フレームに再生ナイロンを使っています。衣類では、2025年にOuterknownが、NetPlusのナイロンだけでつくったボードショーツ「Apex Boardshort」を発売したと報じられています。

素材ごとの向き不向き

素材主な用途特徴
ナイロン6(再生繊維)衣類・水着・布製品軽く丈夫。漁網の主な素材のひとつ
HDPE(高密度ポリエチレン)帽子のつば・スケートボード・ハードグッズ射出成形で形にしやすい
再生ナイロン(成形用)サングラスのフレームなどアイウェアなど硬さが必要な用途
NetPlusの素材と主な用途の例(公表情報をもとに整理)
漁網由来の素材から作られた製品のイメージ
漁網由来の素材は、さまざまな製品に使われる

同じ「漁網由来」の製品を扱った既存記事として、Karünの再生アイウェアやパタゴニアのNetPlus製品の記事もあわせて読むと、ブランドごとの違いが分かります。

バージン素材・再生素材・バイオ素材の比較

プラスチック素材の環境面の評価は、石油由来のバージン素材、再生素材、植物由来のバイオ素材で見方が異なります。どれが常に優れているとは言えず、用途や使い方、廃棄後の流れまで含めて考える必要があります。

素材主な強み気をつけたい点
バージン(石油由来)素材品質が安定し、大量生産しやすい新たに資源を採掘して使う
再生素材(NetPlusなど)廃棄物の有効活用。新規採掘を減らせる可能性原料の品質のばらつき、回収コスト
バイオ素材化石資源への依存を下げられる可能性原料の栽培に土地・水が必要。分解性は種類による
素材の考え方の比較(一般的な整理。具体的な環境負荷は製品ごとのLCAで確認)

使うときに気をつけたいこと:マイクロファイバー

ナイロンやポリエステルなどの合成繊維の衣類は、洗濯のたびに細かな繊維(マイクロファイバー)が出て、排水を通じて環境に流れ出す可能性があると指摘されています。再生素材の衣類でも事情は同じです。洗濯ネットを使う、洗濯の回数を減らす、洗濯機に専用フィルターを付けるといった工夫で、流出を減らす取り組みが進んでいます。

製品の寿命も環境負荷を左右する

再生素材の製品でも、すぐに壊れて買い替えが続けば、環境への負荷は減りにくくなります。長く使える丈夫さ、修理のしやすさ、使い終えた後に再び回収される仕組みがそろって、はじめて循環が成り立ちます。「再生素材だから安心」ではなく、「長く使い、手放すときの道も考える」ことが、素材の価値を活かす使い方です。

信頼性をどう見るか:認証と第三者の目

B CorpとGlobal Recycled Standard

Bureo公式は、B Corp認証を取得していることと、Global Recycled Standard(GRS)の認証を受けていることを公表しています。GRSは、再生材料の含有を確認し、サプライチェーン全体の環境・社会面の基準を第三者が監査する国際的な認証です。公式ページには、SCS Global Servicesによる認証であることが示されています。

また、2014年から「1% for the Planet」にも参加しており、年間売上の1%以上を環境団体に寄付する約束をしていると説明しています。こうした仕組みは、企業の説明をそのまま信じるのではなく、第三者が確認できる形にするという意味があります。

リサイクルの限界も知っておく

一方で、漁網のリサイクルには課題もあります。網は素材が混じりやすく、汚れも多いため、再生にはコストと手間がかかります。また、再生素材を使った製品を買うことが、海の漁具の問題そのものを直接解決するわけではありません。根本的には、漁具が海に流出しにくい管理と、回収した後に使い道があるルートの両方が必要です。

  • 再生素材は「すでに出てしまった網」の受け皿として有効
  • 新しい漁網の設計や回収義務(拡大生産者責任)など、上流の対策も重要
  • 購入は選択肢のひとつで、使い続けることやお手入れも環境負荷を左右する

日本でも漁具の回収や制度づくりが議論されています。制度面は漁具の拡大生産者責任(EPR)の記事で解説しています。

認証ラベルと再生素材を確認する場面のイメージ
製品を選ぶときは、認証や説明を確認したい

グリーンウォッシュを見抜く5つの質問

  1. 「再生素材」とあるが、何%が再生素材か
  2. 原料は使用済み品(ポストコンシューマー)か、工場の端材か
  3. 第三者の認証やデータで裏づけがあるか
  4. 回収の場所・方法・関わる人が具体的に書かれているか
  5. 環境負荷(CO2排出や水の使用)の比較データが示されているか

この質問のうち、2と3は特に重要です。工場の端材を使った再生素材も資源の有効利用ではありますが、「海から回収した」という印象を与える表現は、原料が何かに照らして正確かを確かめる必要があります。NetPlusは、公式が「100%ポストコンシューマーの漁網」と説明している点が、確認しやすい特徴です。

ほかの漁網リサイクルとの違い

国内でも、使い終えた漁網を回収して樹脂原料に戻す取り組みが行われています。違いは、回収網の産地、素材の種類、製品のブランド、そして誰に利益が還元されるかです。比較したいときは、漁網から生まれた製品の記事もあわせてご覧ください。

私たちにできること:選ぶ・使う・伝える

購入前に確認したい3つのこと

再生素材の製品を選ぶ際は、次の3点を確認すると、グリーンウォッシュ(実態以上に環境配慮を見せること)を避けやすくなります。

  1. 素材の何%が再生素材か(全量か、一部か)
  2. どんな認証や第三者の確認があるか(GRSなど)
  3. 回収の仕組みが具体的に説明されているか(どこで、誰が、どう集めるか)

「海洋プラスチック由来」とうたう製品でも、再生素材の割合は製品によって異なります。NetPlusのように、原料と回収の流れを公開しているものは、確認しやすい例といえます。

日本の海辺でできること

日本でも、漁網やロープ、ブイなどが海岸に漂着しています。海辺のごみ拾いに参加したり、地域の漁協や自治体が実施する回収事業を応援したりすることも、現場に近い取り組みです。漁網のリサイクルを行う国内企業の事例は、廃漁網リサイクルの記事で紹介しています。

今日からできること

  • 再生素材製品を買うときは、割合と認証を確認する
  • 海辺のごみ拾いや地域の回収活動に参加する
  • 家族や友人に、漁網が海洋ごみになる背景を伝える
  • 長く使い、修理して、手放すときは再資源化の道を探す

学校や家庭での学び方のアイデア

この事例は、海洋ごみ、リサイクル、働き方、消費者の選択という複数のテーマを一度に考える教材になります。授業や家庭学習で使うなら、次のような進め方が考えられます。

  • 地図で、チリ・ペルー・日本などの回収地域を確認し、漁業が盛んな理由を調べる
  • 実物の漁網やロープを観察し、素材・強度・目の大きさの理由を考える
  • 「買う側」「回収する側」「作る側」に分かれて、仕組みが続く条件を話し合う
  • 自分の持ち物に使われている素材のラベルを調べ、再生素材の有無を確かめる

特に、自分の身の回りの製品のラベルを確認する活動は、日常の選択につながりやすい学びです。結果を家族や友人と共有すると、理解がより深まります。

まとめ:漁網を「ごみ」から「資源」へ変えるには

Bureoの事例から学べること

Bureoの取り組みの核心は、「回収する人に価値が返る仕組み」と「再生素材を使う企業が現れる市場」を同時につくった点にあります。回収して終わりではなく、漁師の収入、地域の環境活動、製品の販売までがつながることで、漁網が海に捨てられる動機を減らそうとしています。

同時に、数字や目標は企業の公表情報であり、読む側が出典と時期を確認する姿勢が欠かせません。幽霊漁具の規模自体にも不確実性が大きく、「64万トン」のような数字を、そのまま事実として使わない慎重さも必要です。

これからの注目点

  • 回収拠点が日本を含むアジアで広がるか
  • 再生素材の需要が、回収コストを下げる方向に働くか
  • 漁具の設計や制度が、流出そのものを減らす方向に進むか

まとめ

  • Bureo NetPlusは、使用済みの漁網を100%原料にした再生素材
  • 回収は漁師への支払いや寄付と結びつけた仕組みで行われる
  • 累計の回収量は公式で1,700万ポンド以上(時期により数字が異なる)
  • 製品を選ぶときは再生割合・認証・回収の説明を確認する
  • 根本対策は、漁具の流出を減らす制度と設計にもある

ふりかえりのための3つの問い

  • 回収する人にお金が支払われる仕組みは、なぜ海ごみ対策として効果的だと考えられるか
  • 再生素材の製品を買うことと、漁具の流出を防ぐことは、どちらが優先されるべきか、あるいは両方必要か
  • 自分が製品を選ぶとき、どの情報(割合・認証・回収の流れ)を最も重視したいか

唯一の正解はありません。大切なのは、数字や宣伝文句をそのまま受け取らず、出典と時点を確かめながら、自分で判断する姿勢です。

この記事のポイントを箇条書きでまとめた図版
この記事のポイント。詳しくは各章で解説している

参考文献・出典

  1. Bureo — Impact(公式) – 累計回収量・認証・NetPlusの素材
  2. Conservation International Ventures — Bureo – 創業の経緯・投資・2026年の目標
  3. Richardson et al. (2022) Global estimates of fishing gear lost to the ocean each year, Science Advances – 漁具の年間紛失率の推定
  4. World Animal Protection — Fishing's phantom menace – ゴーストギアが海洋生物に与える影響
  5. ImpactAlpha — Net Gain: Bureo Collects Fishing Nets, Creates Skateboards – Net Positivaと創業期の取り組み
  6. Forbes — Turning Trash Into Skateboards – 創業期の取材記事(2013年)
  7. Vision Monday — Costa Deepens Its Longtime Bureo Partnership – Costa Del MarとBureoの協業
  8. Ghost fishing gear and their effect on ecosystem services(Marine Policy) – 幽霊漁具の生態系サービスへの影響

※ 信頼性の高い順に配列:政府機関・学術機関 > 査読済み論文 > 専門機関 > 信頼できるメディア