⚡ 30秒でわかる答え

  • 里山(里地里山)とは、奥山と都市の中間にある二次林・農地・ため池・草原・集落からなる、人の手で維持されてきた自然のことです。国土の約4割を占めます。
  • 動物の絶滅危惧種が5種以上生息する地域の49%、植物では55%が里地里山に分布しており、日本の生物多様性を支える場所です。
  • 最大の危機は開発に加え、燃料革命以降の利用縮小による放棄です。放置里山林は全国で約300〜400万haと推定されています。
約4割
里地里山が国土に占める割合
5割以上
希少種の集中分布地域のうち里地里山の割合
300〜400万ha
放置された里山林の推定面積

里山は「原生的な自然」ではなく、人が手を入れ続けることで成り立ってきた自然です。国土の約4割を占めるこの身近な自然は、いま放置という新しい危機に直面しています。

雑木林で薪を取り、落ち葉を堆肥にし、田んぼとため池で水をめぐらせる。その暮らしが、メダカやギフチョウのような生きものの居場所を同時につくってきました。

この記事では、環境省・林野庁などの資料をもとに、里山の仕組み、恵み、危機、そして海とのつながりまでを整理します。

この記事で学べること

  • 里山(里地里山)の定義と、二次的自然という考え方
  • 雑木林・田んぼ・ため池がつくる資源と水の循環
  • 希少種の約半数が里山に集まる理由
  • 燃料革命以降に進んだ「放棄」という危機
  • 重要里地里山500や利活用など、守る取り組み
  • 里山と川・海とのつながり

里山とは何か:奥山と都市のあいだにある「いちばん近い自然」

里山の定義:環境省の「里地里山」とは

「里山」と聞くと、茅葺き屋根の家と棚田、その背後にこんもり茂る雑木林といった風景を思い浮かべる人が多いでしょう。環境省は、これを里地里山と呼び、「奥山と都市の中間に位置し、集落とそれを取り巻く二次林、それらと混在する農地、ため池、草原等で構成される地域」と説明しています。山だけを指す言葉ではなく、人の暮らしと自然が重なり合う地域全体を指す概念だという点がポイントです。

面積の大きさも見逃せません。環境省の資料によれば、二次林や農地を主体とする里地里山は国土の約4割を占めるとされています。手つかずの原生的な自然が国土の限られた部分にとどまる日本では、私たちが「自然」と出会う場面の多くは、実はこの里地里山で起きているのです。

「二次的自然」という考え方

農地や二次林のように、人が古くから持続的に利用・管理することで形づくられ、維持されてきた自然を、環境省は二次的自然環境と呼んでいます。原生林のような「人の手が入っていない自然」に対し、里山は「人の手が入ることで成り立っている自然」です。

この違いは、保全の考え方を根本から変えます。原生的な自然なら「そっとしておく」ことが保全になりますが、里山では放っておくこと自体が劣化の原因になります。後の章で見るように、里山の危機は開発だけでなく、人が手を引くことでも起きるのです。

区分代表的な場所自然の成り立ち
奥山(原生的な自然)ブナ原生林・高山帯など人の影響が小さく、自然の力で維持される
里地里山(二次的自然)雑木林・田んぼ・ため池・草原・用水路人の利用・管理によって維持される
都市市街地・住宅地・公園人工物が中心。緑地は計画的に維持
奥山・里山・都市の位置づけ(環境省の整理にもとづく)

里山を構成する5つの要素

  • 雑木林(二次林):コナラ・クヌギなどの落葉広葉樹を中心に、薪や炭、落ち葉堆肥の供給源として使われてきた林
  • 田んぼ・畑:水を張る季節的な湿地として、多くの水辺の生きものを支える農地
  • ため池・用水路:水を蓄え、田へ配る人工の水辺。詳しくはため池の生態系の記事も参照
  • 草原・草地:茅場や採草地など、草を刈り続けることで維持される明るい環境
  • 集落・屋敷林:人が暮らす場所そのもの。庭木や社寺林も生きものの足場になる

里山の仕組み:雑木林・田んぼ・ため池がつくる循環

雑木林は「燃料と肥料の工場」だった

里山の雑木林は、かつて暮らしに欠かせない資源を生み出す場でした。コナラやクヌギなどを伐って薪や炭に使い、落ち葉は集めて堆肥にし、田畑にすき込みます。林野庁や自治体の資料では、こうした雑木林は15〜20年ほどの周期で伐採する短伐期施業で維持されてきたと紹介されています。

コナラやクヌギは、切り株から新しい芽が出て再生する力が強い樹種です。これを利用して、伐っては再生させる萌芽更新を繰り返すことで、植え替えをしなくても林が何度も蘇ります。切った直後の林は明るく、数年たつと茂り、やがて大きく育つ――この時間差のあるモザイク状の環境が、多様な生きものの居場所になりました。

ポイント:伐ることが森を守っていた

  • 里山の雑木林は「伐らないと守れない」森でした。定期的に木を伐って林内に光を入れることで、春先に咲く草花や、それを利用する昆虫が暮らせる明るい環境が保たれていたのです。

田んぼとため池:水の循環を人がつくる

里山の水辺は、人が水を運び、ためて、流すことでつくられてきました。山の斜面にしみこんだ雨水は沢となって流れ、ため池に蓄えられ、用水路を通って田んぼへ届きます。田んぼは稲作の時期だけ水が張られる浅い湿地であり、春から夏にかけてカエルやドジョウ、水生昆虫の産卵・成育の場として働きます(田んぼの生きものの記事で詳しく解説しています)。

水源となる森の働きは水源涵養林の記事でも紹介しています。山・田・水路・ため池がつながって一つの水系をなしているのが里山の特徴で、どれか一つが欠けると、ほかの部分にも影響が及びます。

雑木林・田んぼ・ため池・集落がつながる里山の循環の断面イラスト
雑木林・田んぼ・ため池・集落が資源と水でつながる里山の循環

人の暮らしと自然が支え合う「循環型」の土地利用

里山の本質は、地域の中で資源がめぐる循環型の暮らしにあります。落ち葉は堆肥に、堆肥は作物に、作物は人の食べ物になり、薪や炭は燃料になる。その過程で林や草地、水辺が定期的に手入れされ、結果として生きものにとっても住みよい環境が保たれてきました。

人が利益を得るための利用が、そのまま自然の維持管理になっていた――ここに、里山が「人と自然の共生」の象徴として語られる理由があります。

里山が育む生きもの:絶滅危惧種の約半数が暮らす場所

希少種の集中分布地域の半分以上が里地里山

環境省の資料では、全国の希少種の集中分布地域の5割以上が里地里山にあたると整理されています。また環境省の調査・分析では、植物の絶滅危惧種が5種以上生育する地域の55%、動物の絶滅危惧種が5種以上生息する地域の49%が里地里山の範囲に分布していました。

かつて身近だった種も、里地里山に集中しています。同じ調査では、メダカの生息が確認された地域の69%、ギフチョウの58%が里地里山に分布していました。「身近だったのに、いつのまにか見なくなった」生きものたちの多くは、里山の変化とともに姿を減らしてきたのです。

指標数値出典の整理
里地里山が国土に占める割合約4割環境省
希少種の集中分布地域のうち里地里山の割合5割以上環境省
植物の絶滅危惧種が5種以上生育する地域の分布55%が里地里山環境省の調査・分析
動物の絶滅危惧種が5種以上生息する地域の分布49%が里地里山環境省の調査・分析
メダカの確認地域のうち里地里山69%環境省の調査・分析
ギフチョウの確認地域のうち里地里山58%環境省の調査・分析
里地里山と生物多様性に関する主な数値

なぜ里山にこれほど多様な生きものが集まるのか

理由の一つは、環境のモザイクです。林・草地・水田・ため池・用水路が狭い範囲に隣り合うため、さまざまな環境を必要とする生きものが、一つの地域のなかで一生を完結できます。たとえばカエルは、春に田んぼや池で産卵し、成長すると林や草地で暮らします。

もう一つは、人の手が入る周期性です。伐採、草刈り、田起こし、水の入れ替えといった作業が、一定のリズムで環境をリセットし、遷移が進みすぎるのを防ぎます。明るい環境を好む種も、暗い林を好む種も、場所と時期をずらして共存できました。

  • 明るい林床を好む植物:春先に咲く草花など、林に光が入る環境を利用する
  • 水田・水路の生きもの:メダカ、ドジョウ、カエル類、水生昆虫など
  • 草原性の昆虫:定期的な草刈りで維持される草地を利用するチョウ類など
  • 林と水辺を行き来する動物:サシバなど、里山を広く使う猛禽類
この記事の要点となる3つの数字をまとめた図版
数字で見る:本文で扱う3つの指標

里山が果たす役割:生物多様性だけではない恵み

供給・調整・文化:里山の生態系サービス

里山は、食料や木材などの供給サービス、水の浄化や洪水の緩和などの調整サービス、景観や伝統行事、教育・レクリエーションの場としての文化的サービスを、一度に提供する土地です。

  • 食料・資源:米や野菜、山菜、きのこ、薪炭、堆肥
  • 水の調整:森や田んぼ、ため池が雨水を一時的にため、流出をゆるやかにする
  • 土壌の保全:林や草地が土砂の流出を抑える
  • 文化・教育:祭りや食文化、自然体験、環境学習の場

メモ:田んぼとため池の「水をためる力」

  • 田んぼは水を張ることで一時的に雨水をためる機能を持ち、ため池は農業用水を蓄える施設です。これらが生きものの生息地にもなっている点が、里山の面白さです。

里山・里川・里海:山から海へのつながり

里山の水は、川を通って海へ流れます。山の手入れ、田んぼの水の使い方、川の状態は、最終的に沿岸の海にも影響します。人が手を入れて豊かな恵みを得てきた海辺を指す里海は、里山と同じ発想から生まれた言葉です。

国連大学と環境省が提唱したSATOYAMAイニシアティブは、里山・里海のように人の営みと自然が共に生産と多様性を保つ土地利用・海域利用(社会生態学的生産ランドスケープ・シースケープ、SEPLS)を世界で守り、活かすことを目指す取り組みです。2010年に名古屋で開かれた生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)を機に国際的に広まりました。

山から川、そして海へと水がつながる里山・里川・里海の俯瞰図
里山の水は川を通じて里海へ。山・川・海は一つの流れでつながる

里山の一年:季節で変わる暮らしと生きもの

春:芽吹きと田んぼの準備

雪解けとともに雑木林の木々が芽吹き、林床には春先に花を咲かせる草花が現れます。木々が葉を広げる前の短い期間、林内には光がたっぷり届くため、この時期だけ地面近くで花を咲かせて種をつくる植物が少なくありません。伐採によって明るく保たれた林は、こうした植物にとって大切な舞台でした。

田んぼでは、苗代づくりや水路の掃除、畦の草刈りが始まります。水が引き込まれると、冬の間は乾いていた田が一気に浅い湿地へと姿を変え、カエルの鳴き声が響き始めます。

夏:水田と草地が最もにぎわう季節

田植えが終わると、水田にはオタマジャクシやヤゴ、ゲンゴロウの仲間などが現れ、それを狙うサギ類や猛禽類が集まります。畦や土手の草刈りは、イネの病害虫を防ぐ作業であると同時に、草地性の植物や昆虫が暮らす明るい環境を保つ作業でもあります。夜には、用水路や水田の周りでホタルが光る地域もあります。

秋:実りと落ち葉の季節

稲刈りの後、田んぼは再び乾いていきます。雑木林では、コナラやクヌギのどんぐりが落ち、それを食べる動物たちが活動を活発にします。秋から冬にかけては、落ち葉かきをして堆肥づくりの材料を集める季節でもありました。落ち葉を集めることで林床の養分が過剰にならず、やせた土地を好む植物も生き延びることができたといわれます。

冬:薪づくりと雑木林の更新

葉を落とした冬は、木を伐る季節です。昔から雑木林の伐採は樹木が休眠する冬に行われ、切り株から翌春に新しい芽が伸びる萌芽更新につながっていました。伐られた林は明るくなり、数年かけて草や低木が茂り、やがて再び高い林へと育っていきます。

季節人の作業生きものの動き
春苗代づくり・水路掃除・畦の草刈り林床の草花が開花、田んぼでカエルが産卵
夏田の水管理・草刈り水田でオタマジャクシやヤゴが育つ、鳥が集まる
秋稲刈り・落ち葉かきどんぐりが実り、動物が活発に活動する
冬木の伐採・薪づくり・堆肥づくり伐られた林が明るくなり、翌春の萌芽に備える
里山の暮らしと生きものの一年(一般的な例。地域により時期は異なる)

ポイント:作業のリズムが生態系のリズムになる

  • 農作業と林の手入れが年間を通じて決まったリズムで行われることで、生きものも同じリズムに合わせて暮らしてきました。作業が止まることは、そのリズムが失われることを意味します。

里山の危機:開発だけでなく「放棄」で失われる自然

燃料革命と暮らしの変化

昭和30年代(1955年ごろ)以降の燃料革命や化学肥料の普及により、里山林を日常的に利用する暮らしは大きく縮小しました。林野庁の資料では、薪炭など燃料としての利用は1960年の10分の1以下の200万m³程度にまで減ったとされています。薪や炭、落ち葉堆肥が要らなくなれば、雑木林を伐る理由もなくなります。

放置された里山林は約300〜400万ヘクタール

人手で育成・管理されてきた里山林の多くは放置され、林野庁の提言では、放置里山林は全国で約300〜400万ヘクタールと推定されています。伐られなくなったナラ類などは高齢化・大径化し、林内は暗くなって、暮らしと生態系の両方にさまざまな悪影響が出ています。

変化起きていること影響
利用の縮小燃料革命・化学肥料の普及で薪炭・堆肥の需要が減少雑木林の管理が行われなくなる
林の高齢化・大径化ナラ類などが伐られず大きく育つ林内が暗くなり、明るい環境の生きものが減る
病害虫の拡大大径化した広葉樹がカシノナガキクイムシ被害(ナラ枯れ)を受けやすい里山林の枯死が広がる
担い手の減少過疎化・高齢化草刈り・水路管理が行き届かず景観が荒れる
里山の放棄で連鎖的に起きる変化(林野庁・環境省の整理にもとづく)

生物多様性国家戦略が指摘する「第2の危機」

日本の生物多様性国家戦略は、生物多様性の危機を段階的に整理しています。開発や乱獲による「第1の危機」に対し、人間の働きかけが縮小・撤退することによる里地里山などの質の変化は「第2の危機」と位置づけられ、里山の放棄は国の戦略でも正面から取り上げられる課題です。外来種などの持ち込みによる攪乱は、また別の危機として整理されています。

注意:保全=立ち入り禁止ではない

  • 里山の劣化の主因が「手を入れなくなったこと」である以上、柵で囲って人を遠ざけても回復しません。適度な利用と管理を続ける仕組みを作ることが、里山保全の中心課題です。

ナラ枯れと大径木化の問題

放置され大径木化した里山の広葉樹林は、カシノナガキクイムシが媒介するナラ枯れの被害を拡大させる一因になるとされています。1950年代からの燃料革命で利用がなくなった結果、マツ枯れやナラ枯れなど、里山の不健康化が顕在化してきました。

この記事のポイントを箇条書きでまとめた図版
この記事のポイント。詳しくは各章で解説している

里山を訪ねてみよう:楽しみ方と守るためのマナー

初めての里山歩きのポイント

里山は、登山のような装備を必要としない身近な自然です。まずは自宅から行ける距離の里山公園、市民の森、里山体験施設などを訪ねてみましょう。重要里地里山に選定された地域には、観察会や体験プログラムを開いているところもあります。

  • 季節をずらして複数回訪れる:春の花、夏の水辺、秋の実り、冬の林と、同じ場所でも姿が大きく変わる
  • 水辺をのぞく:用水路やため池では、小さな魚や水生昆虫が見つかることがある
  • 足元と頭上を見る:林床の草花、樹上の鳥、切り株の萌芽に注目する
  • 地元の人に話を聞く:何を作り、どう手入れしているかが分かると景観の見え方が変わる

訪れるときのマナー

  • 田んぼ、畑、畦道は誰かの生業の場。無断で立ち入らず、作物や設備に触れない
  • 生きものや植物を採りすぎない。持ち帰らず、観察と写真にとどめる
  • ごみは必ず持ち帰り、外来の生きものを放さない
  • マダニや蜂、ヘビなどに備えた服装と持ち物で出かける(長袖・長ズボン、虫よけなど)
  • 私有地や立入禁止の表示を守り、駐車は指定の場所へ

行動のヒント

  • まずは「近くの里山を、季節を変えて3回歩く」ことから始めてみましょう。写真と一言メモを残すだけでも、変化に気づく目が育ちます。

里山の恵みを日常に取り入れる

里山とつながる一番手軽な方法は、地域の産物を選ぶことです。里山で育った米や野菜、地域産の木材や薪、きのこなどを買うことは、その土地の手入れを経済的に支えることにつながります。また、農業体験や田植え・稲刈りのイベント、棚田オーナー制度といった仕組みを設けている地域もあります。

観光や教育の場として里山を活かす動きも広がっています。里山を「守る対象」としてだけでなく、「楽しみ、学び、恵みを受け取る場」として使い続けることが、結果として保全につながります。

里山を守り活かす取り組み:国・地域・企業・市民

重要里地里山500:守るべき場所を見える化

環境省は、生物多様性保全上重要な里地里山として、全国から500か所を「重要里地里山」に選定しました。選定は、①多様で優れた二次的自然環境があること、②里地里山に特有の多様な野生生物の生息・生育地であること、③生態系ネットワークの形成に寄与すること、という三つの基準のうち二つ以上を満たすことが条件とされています。

重要里地里山の選定基準

  • 多様で優れた二次的自然環境を有する
  • 里地里山に特有の多様な野生生物の生息・生育地である
  • 生態系ネットワークの形成に寄与する
  • 上記3基準のうち2つ以上を満たすこと

利活用で守る:里山広葉樹の新しい価値

林野庁は、里山広葉樹林の利活用を通じた再生に向けて、国産広葉樹の利活用推進チームを立ち上げ、令和7年3月に提言をまとめました。薪・きのこの原木・木工や家具材など、伐った木に新しい価値と出口をつくることで、手入れを続ける動機を生み出す考え方です。

  • 薪・木質バイオマス:地域の熱源としての利用
  • きのこ原木:クヌギ・コナラが原木として使われる
  • 家具・工芸材:地域産広葉樹の活用
  • 観光・体験:里山体験、田植え・稲刈り、ガイドツアー

市民ができること

  • 近くの里山保全活動(下草刈り・間伐・田んぼ作業)のボランティアに参加する
  • 地元の米・野菜・木製品を選び、里山の手入れを経済的に支える
  • 里山の生きもの観察会や環境学習に参加し、記録を残す
  • 身近な里山の変化を写真と日記で記録する(自然ジャーナリングも参考に)
人々が雑木林の下草刈りと田んぼの作業を一緒に行う里山保全の様子
世代を超えた手入れが、里山の明るい林と水辺を守る

海とのつながり:里山を守ることは海を守ること

山の手入れが沿岸に届く

山で降った雨は、森の土や田んぼ、ため池を経由して川に集まり、河口から海に入ります。森林が荒れて土砂が流れ出したり、水辺の環境が失われたりすれば、河口や干潟、藻場に影響が及ぶ可能性があります。一方で、里山の手入れが行き届いた流域は、水や栄養分を安定して海へ届ける役割を果たします。

川と里山・里海をつなぐ視点は川の再生や里海の考え方とも重なります。海を守るために、まず流域=里山に目を向ける。これが「山・川・里・海のつながり」という発想です。

身近な自然を、次の世代に

里山は、特別な保護区ではなく、誰かが暮らし、働き、手を入れている場所です。だからこそ、私たちの消費行動や関わり方が、そのまま里山の未来を左右します。近くの里山を一度歩いてみる。そこで採れた米や木材を使ってみる。小さな関わりが、海まで続く自然を支えます。

まとめ

  • 里山は国土の約4割を占める、人の手で維持されてきた二次的自然です。絶滅危惧種の約半数が分布する一方、利用の縮小による放棄が最大の危機となっています。守るカギは「適度に使い続けること」です。

参考文献・出典

  1. 環境省「里地里山と生物多様性」 – 里地里山の定義・希少種の分布
  2. 環境省「日本の里地里山の調査・分析について(中間報告)」 – 絶滅危惧種・メダカ・ギフチョウの分布割合
  3. 環境省「重要里地里山」 – 重要里地里山500の選定基準
  4. 環境省「里地里山とは」手引き – 二次的自然環境の考え方
  5. 林野庁「里山広葉樹林の利活用を通じた再生に向けての提言(令和7年3月)」 – 放置里山林の推計と活用策
  6. 林野庁「里山林の薪炭や、きのこ生産資材としての利用」 – 薪炭利用の変化
  7. SATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップ(IPSI) – SATOYAMAイニシアティブの概念
  8. 国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS) – 里山と伝統的知識

※ 信頼性の高い順に配列:政府機関・学術機関 > 査読済み論文 > 専門機関 > 信頼できるメディア