⚡ 30秒でわかる答え

  • 魚の骨・皮・うろこは、副産物として魚体の30〜70%(FAO)を占め、部位ごとに向く使い道が違う。骨は魚粉・肥料・カルシウム素材、皮はコラーゲンや革、うろこは魚臭さの少ないコラーゲンになる。
  • 国内でも、うろこから作る美容液(多木化学「うるみこ」)や、魚の皮を植物タンニンでなめす革(Ocean Leather)などの事例がある。
  • 大半は魚粉・肥料・飼料という土台の出口に流れる。高付加価値素材は少量で、鮮度・品質・コスト・規制の壁がある。
  • まず食べ切り、次に飼料・肥料、最後に素材化という順で考えるのが現実的。
30〜70%
魚体に占める副産物の割合(FAO)
約74%
魚アラのうち魚粉工場へ運ばれる割合(SPF試算)
500〜1000倍
うろこ由来美容液「うるみこ」のコラーゲン濃度(通常の美容液比・事業者説明)

スーパーに並ぶ切り身の裏側では、骨・皮・うろこといった部位が大量に出ている。FAOは、こうした副産物が魚全体の30〜70%を占めると説明する。かつては処理費用のかかる廃棄物だったこれらが、いま肥料や飼料、さらにはコラーゲンや革へと姿を変え始めている。

本記事では、骨・皮・うろこという部位ごとに、何に生まれ変わっているのかを整理する。うろこから作る美容液、魚の皮の革、肥料や飼料という土台の出口まで、公表されている情報をもとに紹介する。

一方で、鮮度の維持やコスト、規制といった壁も大きい。期待だけでなく、限界にも目を向けて「本当に役立つ循環」を考える材料にしてほしい。

この記事で学べること

  • 魚の骨・皮・うろこが魚体に占める割合の目安
  • 骨・皮・うろこそれぞれの得意な使い道
  • うろこコラーゲン美容液やフィッシュレザーの国内事例
  • 肥料・飼料という量をさばく出口の役割
  • 素材化を阻む鮮度・コスト・規制の壁
  • 買い物や食卓でできる選び方

魚1尾のうち「食べない部分」はどれくらいあるのか

スーパーで切り身を買うとき、私たちが目にするのは魚の一部だけだ。頭、内臓、骨、皮、うろこ。これらは水産加工の現場で必ず出る「副産物」で、かつては処理費用をかけて捨てられることも多かった。国連食糧農業機関(FAO)は、こうした副産物が魚全体の30〜70%を占めると説明している。幅が大きいのは、魚種や加工の仕方(丸のまま売るのか、三枚におろすのか)で残る量が大きく変わるためだ。

部位ごとの割合を見てみる

2025年に発表された総説論文(Waqar ら)は、魚体に占める各部位の目安を次のように整理している。ただし数値は魚種・季節・餌・計算の基準(生重量か乾燥重量か)によって変わるため、あくまで「おおよその規模感」として読んでほしい。

部位魚体に占める目安主な行き先
頭約10〜20%魚粉・だし・飼料
内臓約12〜18%飼料・肥料・魚醤
骨(中骨・フレーム)約10〜15%魚粉・肥料・カルシウム素材
皮約8〜10%コラーゲン・ゼラチン・革
うろこ約2〜5%コラーゲン・工芸素材
魚体に占める副産物の目安(Waqar ら 2025 の整理による。魚種により大きく変動)

皮の割合は資料によって差がある。高知県の革ブランドは、魚の皮の重さを魚体の「約2%前後」と説明している。皮の厚さや、どこまでを皮として数えるかで数字が変わるためで、「魚種や算出方法によって幅がある」と理解しておくのが安全だ。

「食品ロス」とは別の話

ここで扱う骨・皮・うろこは、もともと人が通常は食べない部位だ。食べられるのに捨てられる「食品ロス」とは区別される。国内の水産加工残さの全体像や魚粉・バイオガスなどの出口は、水産加工残さを資源に変える——魚あら232万トンの有効利用最前線で詳しく整理している。本記事は視点を変え、骨・皮・うろこという「部位」ごとに、何に生まれ変わっているのかを見ていく。

この章のポイント

  • 副産物は魚体の30〜70%(FAO)と幅が大きい
  • 骨・皮・うろこは、それぞれ得意な使い道が違う
  • 数値は魚種と計算基準で変わるので「目安」として読む

骨:カルシウムの貯蔵庫を素材に変える

魚の骨は、タンパク質(主にコラーゲン)とリン酸カルシウム系のミネラルでできている。Waqar らの総説は、骨が乾燥重量ベースで60〜70%のリン酸カルシウム・ハイドロキシアパタイトを含むと報告している(表中では40〜60%とする記載もあり、基準による差がある)。つまり「骨を砕いて粉にする」だけでも、カルシウム源になる素地は十分にある。

最も現実的な出口は魚粉と肥料

骨が最も多く向かう先は、魚粉(フィッシュミール)や肥料だ。笹川平和財団海洋政策研究所のニュースレターの筆者試算では、国内の魚アラ(年およそ75万トン)のうち、約74%が魚粉工場に運ばれるとされる。魚粉は養殖魚や家畜の飼料、農業用の肥料に使われる。重い骨や頭は、まず量をさばける出口に流れるのが現実だ。

魚の骨や頭が粉砕され、魚粉や肥料に変わる流れを示した図
骨や頭の多くは、まず魚粉・肥料という量をさばける出口に向かう(イメージ)

医療・素材分野で研究が進むハイドロキシアパタイト

骨のミネラルを高純度に取り出す研究も進んでいる。サケの骨くずから、アルカリ加水分解と焼成を組み合わせてナノサイズのハイドロキシアパタイト(HAp)を得る方法が報告されており、結晶性が高く生体適合性にも優れるとされる。HApは骨の補填材など医療分野で注目される物質で、魚の骨は「牛や豚由来の素材に代わる候補」として研究されている。ただし、これらの多くは実験室規模の成果で、製品として広く使われている段階とは言えない。

骨ごとに向き不向きがある

すべての骨が簡単に資源になるわけではない。ブルーシャーク(ヨシキリザメ)の中骨を扱った研究では、サメの中骨から作った魚粉はタンパク質が60%未満と少なく、灰分(ミネラル)が25%超と多いため、魚粉工場では敬遠されがちだと述べられている。その一方で、同じ中骨にはコンドロイチン硫酸やバイオアパタイトという有用な成分が含まれ、これらを回収する研究が行われている。「魚粉に向かない骨」でも、成分に着目すれば別の道が開ける、という例だ。

  • 大量・低単価の出口:魚粉、肥料(骨・頭の多くがここへ)
  • 中量・中単価の出口:カルシウム素材、だし、ペットフード
  • 少量・高単価の出口:ハイドロキシアパタイト、コンドロイチンなど(研究・開発段階が中心)

豆知識:骨のコラーゲンとミネラル

  • 魚の骨はコラーゲンの繊維にミネラルが沈着した構造。そのため「柔らかくして食べる」加工も、「成分を分けて取り出す」加工も、この構造をどうほぐすかが鍵になる。

皮:コラーゲンの原料から「革」まで

魚の皮はコラーゲンを豊富に含む。そのため、化粧品や食品向けのコラーゲン・ゼラチンの原料として研究が重ねられてきた。皮の割合は魚体の1割弱から数%と幅があるものの、量がまとまれば「原料」になる部位だ。

この記事の要点となる3つの数字をまとめた図版
数字で見る:本文で扱う3つの指標

コラーゲン・ゼラチン原料としての皮

コラーゲンは魚臭さの原因になりやすい点が長く課題とされてきた。そこで低温での抽出や精製の工夫が重ねられている。ノルウェーでは、研究機関SINTEF Oceanなどが、魚の皮からコラーゲンとゼラチンを作る技術を開発している。医薬品や化粧品への応用が想定されているが、いずれも「高純度の原料を安定して得る」ことが難しく、コストが課題になる。

魚の皮を革にする:Ocean Leather の例

コラーゲンとは別に、皮の「形」を活かす使い方がある。高知県のブランドOcean Leather(オーシャンレザー)は、2021年に始まった魚革ブランドで、販売代理店は水産加工を手がける興洋フリーズ株式会社(1985年創業)だ。プレスリリースによると、原料は高知県で水揚げされた魚の、通常は廃棄される皮で、マダイ、ブリ、シイラなどを使っている。

  • なめし:クロムなどの重金属ではなく、植物タンニンでなめす。タンニンの原料は人工林から得ていると説明されている
  • 工程:約1か月、6つの工程。脱脂に1週間〜10日、なめしに約1週間、塗装は3種類の塗料を使い、熱プレスを5回ほど繰り返す
  • 強度:チョウザメ、シイラ、サーモン、ブリ、マダイの順に強いとされる。50種以上を試し、加工中に溶けて革にならなかった魚もある

価格は財布で3万2千〜7万円、カードケースで1万4千〜3万3千円と、牛革製品と比べても決して安くない(デイリースポーツ 2026年10月11日付の取材記事)。魚の皮は大きな一枚が取れず、きれいな皮を安定して集めるのも難しいため、同社は「大量生産は難しい」としている。つまり、フィッシュレザーは量で勝負する素材ではなく、希少性と物語性で価値を高める素材だ。

「環境にいい」と言い切れない点

  • 革にする過程でも水・薬剤・エネルギーを使う。「捨てられる皮を使う」のは確かな利点だが、製品全体の環境負荷は工程ごとに確かめる必要がある。

うろこ:魚臭さが少ない「コラーゲンの穴場」

うろこは魚体の2〜5%ほどで、骨や皮に比べて量は少ない。しかし、魚臭さの元になるタンパク質や油分が少ないため、純度の高いコラーゲンを取り出しやすいという利点がある。総説論文には、コイのうろこから13.6%の収率でプロコラーゲンを得たという報告も紹介されている。

魚のうろこから取り出したコラーゲンが化粧品になる流れの図
うろこは魚臭さが少なく、コラーゲン抽出に向く部位(イメージ)

国内の事例:多木化学の「うるみこ」

兵庫県加古川市の多木化学は、もともと肥料メーカーとして知られ、化粧品メーカー向けの保湿剤も約10年前から製造してきた企業だ。同社は魚のうろこから高濃度のコラーゲンを抽出し、2023年4月に美容液「うるみこ」を発売した。神戸新聞の報道によると、原料は食用に養殖されるティラピアのうろこで、中国から輸入している。

  • コラーゲンの三重らせん構造を壊さずに抽出する独自技術を使う
  • フリーズドライでスポンジ状にし、使う直前に専用の化粧水で溶かす方式
  • 通常の美容液の500〜1000倍のコラーゲンを含むと説明されている
  • 24回分の専用化粧水とのセットは7,920円(報道時点、楽天市場)

ここで注意したいのは、このうろこが「日本の水産加工場から出たもの」とは限らない点だ。原料は海外で食用に養殖された魚の副産物で、国内の海の廃棄物削減に直結する話ではない。副産物を価値に変える技術の好例ではあるが、「どこで出た副産物を、どこで使うか」という視点も大切になる。

コラーゲンの量は皮と骨とうろこで違う

研究では、同じ魚でも部位によってコラーゲンの得られる量やにおいが異なる。うろこ由来のコラーゲンは骨や皮由来より魚臭さが少ないとされる一方、量では皮のほうが多く取れる例もある。どの部位を使うかは、製品に求める品質と量のバランスで決まる。

部位ごとの得意技

  • 骨:ミネラル(カルシウム・HAp)
  • 皮:コラーゲン量と、革としての形
  • うろこ:においの少ない純度の高いコラーゲン

コラーゲンとゼラチンの違い、そして世界の動き

ここまで何度も登場した「コラーゲン」と「ゼラチン」は、実は同じ物質の別の姿だ。コラーゲンは皮・骨・うろこなどにある繊維状のタンパク質で、三重らせんという構造を持つ。これを加熱して部分的にほぐしたものがゼラチンで、ゼリーや食品の固め剤に使われる。化粧品や医療素材では構造を保ったコラーゲンが、食品の物性を整えるにはゼラチンが向く、というのが大まかな使い分けだ。

魚由来コラーゲンの特徴

コラーゲンは牛や豚の皮・骨からも作られるが、魚由来のものには別の利点が論じられている。総説論文は、魚の副産物が持つコラーゲンの生体適合性の高さに注目し、スキンケア製品に広く使われていると述べる。一方で、魚臭さの除去や、陸上動物由来より熱に弱いといった扱いにくさもあり、用途に応じた精製の工夫が欠かせない。

国際機関も「副産物の高度利用」を後押し

国連食糧農業機関(FAO)は、魚の皮・骨・内臓を高付加価値製品に変える方法をまとめた技術報告(FAO水産養殖技術論文 No.720、Li と Meng、2024年)を公表している。また、FAOと国際水産物貿易情報機関INFOFISHが2024年に行った5か国の調査では、副産物に価値を見いだせ、市場の需要もあることが示されたと紹介されている。世界的にも、「獲った魚を使い切る」流れが政策課題になりつつあることがうかがえる。

北欧の取り組み

ノルウェーの研究機関SINTEF Oceanは、魚の皮からコラーゲンとゼラチンを作り、栄養補助食品や化粧品に生かすプロジェクトを進めている。水産国の北欧では、加工場と研究機関が連携して副産物を原料にする仕組みづくりが進んでおり、日本の水産加工団地にとっても参考になる。

  • コラーゲン:三重らせん構造を保ったもの。化粧品・医療素材向け
  • ゼラチン:コラーゲンを加熱して変性させたもの。食品の固め剤など
  • コラーゲンペプチド:さらに小さく分解したもの。飲料・サプリメント向け

ここに注意

  • 「コラーゲンを摂ると肌にいい」といった効果は、研究の多くが試験管や細胞レベルで、人での十分な臨床根拠は限られる。製品を選ぶときは、広告の表現よりも原料と根拠の中身を見ること。

素材になるまでの壁:鮮度・コスト・規制

魚の骨・皮・うろこが「ごみ」から「素材」に変わるには、いくつもの壁がある。総説論文が整理する課題は、現場の感覚とよく重なる。

壁1:鮮度が命で、すぐ傷む

副産物は水分が多く傷みやすい。加工場で出た直後に冷却・処理しないと、においや品質の問題が出る。原料の質を保つには、加工場のすぐ近くで処理するか、冷蔵・冷凍で運ぶ設備が必要になる。小規模な加工場ほど、この初期投資が重い。

壁2:魚種・季節・餌で成分がばらつく

同じ「サケの皮」でも、季節や餌でコラーゲンの量や脂の量が変わる。工業原料としては品質が安定しないことが、大手メーカーが採用をためらう理由になる。

壁3:コストとインフラ

抽出には酵素、超音波、高圧処理などが使われることがあり、装置やエネルギーのコストが高い。実験室でうまくいった方法を工場規模に広げる(スケールアップ)段階で行き詰まることも多い。

壁4:規制と根拠

食品・化粧品・医療用途では、原料の安全性や表示の規制が厳しい。総説論文は、活性(健康効果)の根拠の多くが試験管や細胞レベルの研究で、人での臨床試験は少ないと指摘している。製品の効果を過信せず、根拠のレベルを見る姿勢が求められる。

壁具体的な困りごと対策の方向
鮮度傷みやすく運べない加工場の近くで処理・冷凍
品質のばらつき季節・魚種で成分が変わる魚種を絞った地域連携
コスト装置・エネルギーが高い共同処理施設・補助制度
規制・根拠安全性・表示の基準試験データの蓄積、用途の選定
副産物を素材にするときの代表的な壁(総説論文の整理をもとに作成)

この章のまとめ

  • 技術はあっても、鮮度・品質・コスト・規制の4つの壁が量産を阻む
  • 「小さく始めて、地域で回す」ことが現実的な突破口になりやすい

肥料・飼料:量をさばく「土台」の出口

高価な素材の話題が目立つが、骨・皮・うろこの大半は、実際には魚粉・飼料・肥料という「土台」の出口に流れている。地味だが、副産物の大部分を無駄にしない最も重要なルートだ。

魚の副産物が肥料や飼料として畑や養殖場へ循環する様子
副産物は肥料や飼料として、陸と海の両方へ戻っていく(イメージ)

魚粉は「品質の階段」で使い分けられる

魚粉は、新鮮で成分の良いものは養殖魚の餌に、次に家畜の飼料に、品質が落ちるものは農業用の肥料にと、品質に応じて使い分けられる。静岡県の研究機関の資料でも、水産加工で出る魚類の内臓などは主に飼料・肥料向けに処理されていると説明されており、加工業者からは用途の拡大と高付加価値化が求められている。

カキ殻・貝殻との違い

貝殻は魚の骨とは違い、ほぼ炭酸カルシウムでできている。カキ殻は土壌改良材や道路資材などに活用が進んでいる。詳しくはカキ殻リサイクル完全ガイドを参照してほしい。魚の骨は有機物(コラーゲン)を含むぶん、貝殻とは使い道が少し異なる。

魚アラを食品・ペットフードにする動き

頭や骨のなかで、まだ食べられるものを食品に回す動きもある。捨てられる魚を商品にする取り組みは、混獲魚を食品に変える工夫や未利用魚の活用の記事でも紹介している。副産物を「高く売る」だけでなく、「地域でまず食べ切る・使い切る」ことも立派な資源化だ。

  • 飼料:養殖魚・家畜の餌(骨・頭・内臓)
  • 肥料:農業用肥料・土壌改良(骨・頭・貝殻)
  • 食品:だし、練り製品、カルシウム素材
  • 素材:コラーゲン、革、HApなど(少量・高単価)

副産物の活用は海と地域に何をもたらすのか

骨・皮・うろこを活用する意義は、「ごみが減る」だけにとどまらない。

廃棄コストと環境負荷の削減

副産物の処理には費用がかかる。水産加工団地では、副産物の処理・輸送コストそのものが経営課題になることも珍しくない。有効利用できれば、廃棄コストの削減につながり、廃棄物として処理する量も減らせる。

水産物の「価値」を使い切る

1尾の魚から得られる価値が、身だけでなく皮やうろこにも広がれば、同じ漁獲量でも漁業・加工業の収入が増える可能性がある。乱獲に頼らず、獲った魚の価値を高める考え方は、水産資源の持続可能な利用にもつながる。副産物の利用は、水産業全体の収益を底上げする手段として国際的にも注目されている。

地域の雇用と物語

フィッシュレザーのように、地域で水揚げされた魚の皮が、地域のブランドとして売られることがある。従業員が少数でも、物語を伴う商品は消費者の関心を引き、地域の水産業を知るきっかけになる。海のサステナビリティを伝える入り口としても有効だ。

「使い切る」ことの優先順位

  • ①まず食べる(食品ロスを減らす)→②飼料・肥料に回す→③高付加価値素材にする、という順で考えるのが現実的。高価な素材は量が限られるため、土台の出口と組み合わせて初めて成り立つ。

なお、このテーマはリサイクルや循環経済の考え方とも重なる。全体の枠組みはサーキュラーエコノミーとはも参考になる。

私たちにできること:選び方と見方

研究室や専門企業の話に見えるが、私たちの買い物や食卓にもつながっている。

魚を丸ごと味わう

あら汁、骨せんべい、魚の皮の唐揚げなど、家庭でも「食べ切る」工夫はできる。骨や皮を食べ物として使うのが、最も手軽な資源化だ。

製品の「原料」と「根拠」を見る

魚由来のコラーゲンやフィッシュレザーを買うときは、①どの魚のどの部位か、②どこで出た副産物か、③効果の根拠は何か、を確認したい。「廃棄される皮を使用」と書かれていても、輸入原料の場合もある。表示を読み、納得して選ぶことが、本当に意味のある循環を後押しする。

地域の取り組みに関心を持つ

水産加工団地や漁協が副産物の活用を進めている地域は多い。ふるさと納税の返礼品や地域のイベントを通じて、そうした取り組みに触れる機会がある。応援することが、小さな事業の継続につながる。

この記事のポイントを箇条書きでまとめた図版
この記事のポイント。詳しくは各章で解説している

まとめ

  • 魚の副産物は魚体の30〜70%で、骨・皮・うろこは部位ごとに得意な使い道がある
  • 骨は魚粉・肥料・カルシウム素材、皮はコラーゲンや革、うろこは魚臭さの少ないコラーゲンに向く
  • フィッシュレザーやうろこコラーゲンは国内にも事例があるが、量産には鮮度・コスト・規制の壁がある
  • まず食べ切り、次に飼料・肥料、最後に高付加価値素材という順で考えるのが現実的

参考文献・出典

  1. FAO:Fish by-products utilization – Getting more benefits from fish processing – 副産物は魚体の30〜70%という整理
  2. Waqar ら (2025) Fish By-Products Utilization in Food and Health – 部位別割合・コラーゲン・HApの総説(PMC)
  3. Efficient Hydroxyapatite Extraction from Salmon Bone Waste – サケ骨くずからのハイドロキシアパタイト抽出(PMC)
  4. Optimal Recovery of Valuable Biomaterials from Central Skeleton Wastes of Blue Shark – サメ中骨からのコンドロイチン硫酸・バイオアパタイト回収(PMC)
  5. 笹川平和財団海洋政策研究所 Ocean Newsletter – 魚アラの発生量と魚粉工場への搬入割合の試算
  6. 神戸新聞:魚のうろこから抽出、多木化学が新ブランド(2023年4月) – 美容液「うるみこ」の開発
  7. ニュースイッチ:多木化学のうろこコラーゲン美容液 – 独自抽出技術と価格の報道
  8. デイリースポーツ:フィッシュレザーの世界(2026年10月11日) – Ocean Leather の工程・価格・課題
  9. @Press:廃棄される魚皮から創った新たなフィッシュレザー製品 – Ocean Leather のプレスリリース(2022年)

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