初夏の夕暮れ、田んぼのあぜ道に立つと、耳が痛くなるほどのカエルの合唱に包まれる。足元の浅い水をのぞけば、オタマジャクシが泥を巻き上げ、アメンボが水面を滑り、ヤゴが泥のなかで息をひそめている。この光景を「田舎の当たり前の風景」と思ってきた人は多いだろう。しかし科学的に見ると、水田は世界的にも珍しい、人の手で毎年つくり直される巨大な湿地であり、日本の生物多様性を支える最重要の生態系のひとつだ。
滋賀県立琵琶湖博物館が公開する「田んぼの生きもの全種データベース」には、日本の水田とその周辺環境で見られる生物が6,305種収録されている。魚も、カエルも、水生昆虫も、貝も、水草も、そして目に見えない微小な生きものも含めた数字だ。国土の6%ほどしかない水田に、これだけの命が集まっている。
その一方で、田んぼの生きものは静かに姿を消しつつある。田の面積は1969年の344万1,000haをピークに減り続け、2025年には230万haになった。かつてどこにでもいたドジョウは2018年に環境省レッドリストの準絶滅危惧に、メダカは絶滅危惧II類に位置づけられている。この記事では、田んぼという湿地の仕組みを生きものの目線から解きほぐし、なぜ減ったのか、どうすれば取り戻せるのかを、一次情報にあたりながら整理していく。
この記事で学べること
- 田んぼが「人がつくった湿地(人工湿地)」として国際的にも認められている理由と、ラムサール条約の水田決議の中身
- カエル・ドジョウ・メダカ・タガメ・トンボが、田んぼの水のリズムをどう利用して命をつないでいるのか
- 水田面積の減少・圃場整備による乾田化・用排分離が、生きものの「道」をどのように断ち切ったのか
- 水田で使われた農薬が河口や内湾の魚にまで影響しうること(宍道湖のウナギ・ワカサギ研究)
- 水田魚道・冬期湛水・中干し延期・コウノトリ育む農法など、生きものを取り戻す具体的な手法とその効果
- 気候変動対策(中干し延長によるメタン削減)と生物多様性保全のあいだに生じるトレードオフの考え方
田んぼは「人がつくった湿地」——6,305種が暮らす水の生態系
水田を「農地」としてだけ見ると、そこは米を生産する工場のような場所に思える。しかし生態学の目で見ると、水田は春から夏にかけて水深数センチ〜十数センチの浅い水域が国土のあちこちに一斉に出現する、季節性湿地(一時的湿地)である。天然の湿地が干拓や河川改修でほとんど失われた日本において、この人工の浅い水域は、湿地に依存する生きものにとって最後の避難場所として機能してきた。
浅くて、あたたかく、天敵の大型魚が入りにくく、日光がよく届いて藻類やプランクトンが爆発的に増える。カエルの産卵にも、フナやドジョウの繁殖にも、トンボのヤゴの成長にも、これほど都合のよい条件はそろわない。田んぼは「稲を育てる場所」であると同時に、大量の小さな命を短期間で育て上げる保育器なのだ。
国際条約も水田を「湿地」として認めている
水田が湿地であるという見方は、日本のローカルな主張ではない。2008年10月、韓国・昌原(チャンウォン)で開かれたラムサール条約第10回締約国会議で、日本と韓国が共同提案した決議X.31「湿地システムとしての水田における生物多様性の向上」(通称・水田決議)が採択された。水田はラムサール条約の湿地分類のうち「人工湿地/タイプ3 灌漑地(灌漑用水路および水田を含む)」に位置づけられ、条件を満たせば国際的に重要な湿地として登録することもできる。
さらに2010年に名古屋で開かれた生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)は、このラムサール水田決議を歓迎し、締約国にその実施を求めることを決定した。つまり「田んぼの生きものを守ることは国際的な約束の一部」という位置づけが、すでに10年以上前に共有されているのである。
6,305種というリストはどこから来たのか
冒頭に挙げた6,305種という数字の出どころは、桐谷圭治編『改訂版 田んぼの生きもの全種リスト』(2010年)を引き継いで滋賀県立琵琶湖博物館がデータベース化し、2020年11月に公開した「田んぼの生きもの全種データベース」である。学名・和名・生息場所・食性(寄主)など25項目が公開され、分類群やフリーワードで検索できる。約60人の執筆者が関わる共同研究の成果だ。
このデータベースを見る田んぼの生きもの全種データベース(滋賀県立琵琶湖博物館)日本の水田と周辺で見られる生物6,305種を、学名・和名・生息場所・食性など25項目で検索できる公開データベース。🔗 biwahaku.jpまた、農林水産省は環境省と連携して平成13年度から21年度(2001〜2009年)にかけて全国規模の「田んぼの生きもの調査」を実施し、水田・水路・ため池にどんな生きものがいるかを農家や市民の協力を得ながら記録してきた。研究者だけでなく、実際に田んぼを耕す人と地域の子どもたちが調査の主役になった点が、この取り組みの大きな特徴である。

「二次的自然」という考え方
水田の生物多様性を語るとき、しばしば「二次的自然」という言葉が使われる。原生的な自然ではなく、人が繰り返し働きかけることで維持されてきた自然のことだ。里山の雑木林、ため池、草刈りされる草地、そして水田がその代表である。日本の絶滅危惧種のかなりの部分が、この二次的自然に依存していることが知られている。
ここに、環境保全の議論でしばしば見落とされるねじれがある。原生自然であれば「人が手を出さない」ことが保全になるが、二次的自然では逆に「人が手を入れ続けない」ことが劣化を招く。耕作が止まり、水が引かれなくなった田は、数年で乾いた草地から低木林へと遷移し、水生生物は姿を消す。田んぼの生きものを守るとは、田んぼを耕し続けることとほとんど同義なのだ。
この点は、農業を続けられる人がいるかどうか、その米が売れるかどうかという経済の話と切り離せない。生物多様性の議論が、農政や地域の担い手の議論と重なるのはそのためである。
水田が湿地として優れている4つの条件
- 浅い:水深が数センチ〜十数センチで日光が底まで届き、藻類・プランクトンが短期間で増える
- あたたかい:春から初夏にかけて水温が上がりやすく、変温動物の成長速度が速い
- 広い:日本全国に約230万haが分布し、集落単位でまとまった面積が確保される
- 毎年更新される:耕起と湛水で毎年リセットされるため、水草や水生昆虫の先駆的な種にも機会がある
一年の「水のリズム」が生きものを育てる
田んぼの生きものを理解する鍵は、農作業の暦(農事暦)がそのまま生態系のカレンダーになっているという点にある。いつ水を入れ、いつ抜くか。その一つひとつの判断が、そこに暮らす何百種もの生きものの生死を左右する。田んぼは自然の湿地と違い、水位の変化を人が完全にコントロールしている湿地なのだ。
代かき〜田植え:一斉に生まれる浅い水域
4月から6月にかけて、乾いていた田に水が引かれ、代かきで泥がかき混ぜられる。この瞬間、休眠していた卵や種子が目を覚まし、水路からはドジョウ、フナ、ナマズが産卵のために田んぼへ入ろうとする。カエルは水面に卵塊を産み、数日でオタマジャクシがかえる。ミジンコやユスリカの幼虫が爆発的に増え、それを食べる小魚や水生昆虫が集まり、さらにその魚を狙ってサギ類が舞い降りる——わずか数週間で、無から食物網が組み上がる。
中干し:突然おとずれる干上がり
6月下旬から7月にかけて、稲の生育を整え根に酸素を送るために、田の水をいったん抜いて土を乾かす「中干し」が行われる。稲作の技術としては合理的だが、生きものにとっては暮らしていた湖が一夜で消えるに等しい事件である。まだ足の生えていないオタマジャクシ、羽化前のヤゴ、逃げ場を失った小魚が、このタイミングで大量に失われる。
だからこそ「中干しを何日遅らせるか」が、田んぼの生物多様性を左右する最重要の管理項目になる。後述するように、この一点で気候変動対策と生物多様性保全の目的がぶつかることにもなる。
落水から冬へ:乾いた田と、水を張り続ける田
稲刈り前に水を落とし、冬の田は乾いた状態になる。かつては水路や川と田がつながっていたため、生きものは水のある場所へ移動して越冬できた。しかし現代の多くの水田では、後述する用排分離と落差によって移動路が絶たれており、冬季の避難先が失われている。これを補うために、あえて冬も水を張る「冬期湛水(ふゆみずたんぼ)」という管理方法が広がりつつある。
水路・ため池・あぜ——「田んぼ本体」だけでは足りない
見落とされやすいのが、田んぼの周辺施設が生態系の一部だということだ。用水路は魚の通り道であると同時に、田に水がない時期の避難場所になる。ため池は年間を通じて水があるため、水生昆虫や貝類の供給源として機能する。あぜは、上陸したカエルの隠れ場所であり、産卵に向かう成体の移動経路でもある。
つまり生きものにとっての生息地は、田んぼという区画ではなく「田んぼ+水路+ため池+あぜ+周囲の林」というひとまとまりの景観である。どれか一つだけを守っても効果は限られ、逆にどれか一つが失われると全体が機能しなくなる。水田の生物多様性が「点」ではなく「面」の問題だと言われるのはこのためだ。
| 時期 | 田んぼの状態 | 主な生きものの動き | 管理でできる配慮 |
|---|---|---|---|
| 4〜5月 | 入水・代かき | ドジョウ・フナが水路から遡上、カエルが産卵 | 水田魚道の設置、早期湛水 |
| 5〜6月 | 湛水・分げつ期 | オタマジャクシ・ヤゴが急成長、水生昆虫が繁殖 | 浅水を保ち急な落水を避ける |
| 6〜7月 | 中干し | 変態前の個体・ヤゴが乾燥で失われやすい | 中干し延期、溝の水たまりを残す |
| 7〜8月 | 間断灌漑 | トンボの羽化、カエルの上陸 | 極端な乾燥期間を作らない |
| 9〜10月 | 落水・稲刈り | 水生生物は水路・ため池へ避難 | 落水速度を緩め、避難路を確保 |
| 11〜3月 | 乾田または冬期湛水 | 越冬場所の有無が翌年の個体数を決める | 冬期湛水、江(え)の設置 |
田んぼの主役たち① カエル——合唱が示す生態系の健康度
田んぼの生きものの代表格といえばカエルだ。日本の両生類は水田とその周辺に強く依存しており、水田で繁殖するカエルは陸と水、そして農地と森をつなぐ「橋渡し役」でもある。オタマジャクシは水中の藻類やデトリタス(有機物のかけら)を食べ、上陸したカエルは害虫を含む昆虫を大量に捕食し、そのカエル自身はヘビ・サギ・トキ・コウノトリの餌になる。食物網の中央に位置する、いわば結び目のような存在である。
アマガエル、トノサマガエル、ダルマガエル
もっとも身近なニホンアマガエルは、あぜの草や稲の葉にとまり、体色を変えながら暮らす。トノサマガエルは水田とその周辺の水路をなわばりにする中〜大型種で、かつては全国の田んぼで普通に見られたが、近年は各地で減少が報告され、環境省レッドリストでは準絶滅危惧とされている。近縁のナゴヤダルマガエルはさらに状況が厳しく、絶滅の危険度が高いランクに位置づけられている。
共通する減少要因は、圃場整備によるあぜのコンクリート化と乾田化、中干しの早期化・長期化、そして周囲の湿地やため池の消失だ。カエルは水域と陸域を行き来する生活史をもつため、「水があること」と「上陸後に隠れる草地があること」の両方が必要になる。どちらか一方でも失われれば、個体群は続かない。
カエルが減るとサギもコウノトリも困る
カエルの減少は単独では終わらない。大型の水鳥はカエル・ドジョウ・水生昆虫といった「田んぼの動物質の餌」に依存しており、田んぼの生産力が落ちれば、その上に乗っている鳥類の生息も成り立たなくなる。日本でコウノトリやトキの野生復帰が「鳥の放鳥」だけでは完結せず、必ず農法そのものの転換とセットで進められてきたのは、このためだ。

カエルは「無償で働く害虫防除者」でもある
カエルの価値は、景観や情緒の話にとどまらない。成体のカエルは昆虫食で、田んぼとその周辺で発生するウンカ類、ヨコバイ類、ガの成虫などを日常的に捕食している。1匹あたりの捕食量は小さくても、面積あたりの個体数が多ければ、群れとしての捕食圧は無視できない規模になる。カエルやクモ、トンボといった捕食者が厚く存在する田んぼは、害虫の異常発生が起きにくいという考え方は、環境保全型農業の実践者のあいだで広く共有されている。
逆に言えば、殺虫剤で餌となる昆虫ごと減らしたり、水管理でカエルの世代交代を止めたりすることは、この「無償の防除サービス」を自ら手放すことにもなる。生きものへの配慮は、農業にとってコストであると同時に、生態系の働きを味方につける投資という側面をもつ。
カエルの合唱は「無料の環境モニタリング」
- 種ごとに鳴き声が違うため、耳だけで在/不在をおおまかに判定できる
- 鳴く時期・場所が繁殖に直結しており、水管理の変化に敏感に反応する
- 地域の学校や住民が参加しやすく、長期の記録を積み上げやすい
- 同じ田んぼで数年続けて記録すると、農法変更の効果が見えてくる
田んぼの主役たち② ドジョウ・メダカ——田を産卵場にする魚たち
「田んぼに魚がいる」と聞いて意外に思う人もいるかもしれない。しかしドジョウ、フナ類、ナマズ、タモロコ、コイといった魚は、春から初夏にかけて水路から田んぼへ入り、そこで産卵し、稚魚を育ててから水路へ戻るという生活史をもつ。彼らにとって田んぼは天敵が少なく餌の多い、期間限定の産卵・保育場なのだ。研究では、ドジョウが田んぼを繁殖の場としてだけでなく、灌漑期間を通じた生息の場としても利用していることが明らかになっている。
ドジョウが「準絶滅危惧」になった意味
2018年、環境省はレッドリストの見直しでドジョウを準絶滅危惧(NT)に位置づけた。理由として、水田地帯を中心とした生息範囲の減少に加え、国外由来の外来ドジョウとの競合、そして同種内の国外系統との交雑による遺伝的攪乱が挙げられている。かつて「どこにでもいる魚」の代名詞だったドジョウが評価対象になったこと自体が、水田環境の変質を象徴している。
メダカ(ミナミメダカ・キタノメダカ)も同様で、環境省レッドリストでは絶滅危惧II類(VU)に分類されている。水環境の悪化、農村環境の改変、外来魚による捕食が主因とされ、地域によっては平野部の水田域からほぼ姿を消したと報告されている。
「田んぼへ入れなくなった」ことが決定打
魚の減少で見落とされがちなのが、水質でも餌でもなく「移動できるかどうか」という物理的な問題である。圃場整備によって用水路と排水路が分離され(用排分離)、排水路は深く掘り下げてコンクリートで固められた。その結果、水路の水面と田んぼの面のあいだに数十センチ〜1メートル以上の落差が生まれ、魚は物理的に田んぼへ上がれなくなった。産卵場所が目の前にあるのに、たどり着けない。この構造こそが、田んぼから魚が消えた最大の理由だ。

泥の中の主役——貝・甲殻類・イトミミズ
魚やカエルほど目立たないが、田んぼの泥の中には生態系の土台を支える生きものが密集している。タニシ類やカワニナは付着藻類や有機物を食べて水をきれいにし、カワエビやカイエビ、ホウネンエビといった小型甲殻類は一時的な水域に適応して短期間で世代を回す。イトミミズは泥を食べて糞を表層に積み上げ、いわゆる「トロトロ層」をつくる。この層は雑草の発芽を抑える効果があるとされ、冬期湛水を実践する農家が重視する要素でもある。
こうした底生生物は、食物網の下から二段目に位置している。彼らが減れば、それを食べる魚も鳥も減る。宍道湖の研究が示したのも、まさにこの「下から崩れる」という順番だった。田んぼの健康度を見るとき、大きな生きものより先に泥の中を見た方がよいとされるのは、変化が真っ先に現れるのがここだからである。
この魚たちの話は、海の資源にも直結している。淡水と海を行き来する回遊魚にとって、水田・水路・河川・河口はひと続きの生息場所だ。当サイトでもニホンウナギ保全の最前線で、生息地の分断が資源に与える打撃を扱っている。田んぼの話は、そのまま河口と沿岸の話でもある。
田んぼの主役たち③ 水生昆虫——タガメとゲンゴロウが消えた理由
水生昆虫は、田んぼの生物多様性を測るうえでもっとも敏感な指標グループである。多くの種が水中で幼虫期を過ごし、成虫になると飛翔して別の水域へ移動する。つまり「水域が一定の密度で点在していること」が生存条件になるため、水田やため池が虫食い状に消えていくと、生活史そのものが成立しなくなる。
タガメ:制度創設後はじめての指定種に
日本最大の水生カメムシであるタガメは、2020年2月10日から特定第二種国内希少野生動植物種に指定され、売買および販売目的の捕獲が禁止された。これは同制度の創設後はじめての指定で、タガメ・トウキョウサンショウウオ・カワバタモロコの3種が対象となった。里地里山や水田といった「二次的自然」に暮らす昆虫類・淡水魚類・両生類のなかに、絶滅のおそれが高まる種が相次いだことを受けた措置である。
特定第二種は、一般的な採集や個人の飼育までは禁じず、商業目的の売買を規制するという設計になっている。里山の生きものを守るには、生息地の保全と、過剰な商業採集の抑制の両方が必要という判断だ。
保全の手引きを見るタガメの保全の手引き(環境省・令和5年5月)特定第二種国内希少野生動植物種に指定されたタガメについて、生息環境の特徴と水田・ため池での保全方法をまとめた手引き。🔗 env.go.jpゲンゴロウ類は「土のある岸辺」を失った
大型のゲンゴロウ類が減った理由として、しばしば指摘されるのが水路のコンクリート化だ。ゲンゴロウの幼虫は成長すると水から上がり、岸辺の土のなかに潜って蛹(さなぎ)になる。岸が垂直のコンクリートになると、この上陸と蛹化の場所が失われ、たとえ成虫が飛んで来ても次の世代が続かない。水質でも餌でもなく、「土の岸辺があるかどうか」が種の存続を決めている。
トンボ:田んぼは日本最大のヤゴの生産地
アキアカネをはじめとする多くのトンボは、水田で産卵し、ヤゴとして水中で育ち、初夏に羽化して山へ移動する。日本のトンボ相の豊かさは、水田という広大な浅い水域に支えられてきた。ヤゴの羽化前に中干しで水が抜かれると、その年の発生は大きく損なわれる。逆に言えば、中干しの時期を数日ずらすだけでトンボの発生数は回復しうる——生きもの側から見れば、たった数日が世代交代の成否を決めるのだ。
水生昆虫が減るときに起きていること
- 水域が点在から孤立へ変わり、飛来してもすみ着けない(生息地の分断)
- コンクリート護岸で上陸・蛹化・産卵の場が消える(微環境の喪失)
- 中干しや早期落水で、羽化前に水がなくなる(タイミングのずれ)
- 餌になる小型の水生生物が農薬で減り、捕食者から順に消えていく(食物網の崩れ)
なぜ生きものは減ったのか——面積・構造・農薬の3つの圧力
田んぼの生きものの減少は、単一の原因では説明できない。大きく分けて①水田そのものの面積減少、②水田の構造の変化、③化学物質の影響という3つの圧力が同時に働いてきた。
①面積:344万haから230万haへ
農林水産省の耕地面積統計によれば、日本の田の面積は昭和44年(1969年)の344万1,000haを最高に減少に転じ、平成30年(2018年)には240万5,000ha(ピークの69.9%)、令和7年(2025年)7月15日現在では230万haとなった。前年からの1年間だけでも1万9,000ha(0.8%)が失われている。米の生産調整による畑への転換、宅地等への転用、そして耕作放棄による荒廃が主な要因である。
面積の減少は、生きものにとって「すみかが狭くなる」以上の意味をもつ。湿地が点々と孤立して残るだけになると、局所的な絶滅が起きたときに周囲から個体が補充されなくなり、ドミノ倒しのように地域個体群が消えていく。
②構造:乾田化と用排分離が「道」を断った
戦後の圃場整備は、農作業の効率を劇的に高めた。区画は大きく四角くなり、大型機械が入れるよう排水性が高められ(乾田化)、水路はコンクリートで固められた。生産性という点では大きな成功である。しかし生態系の側から見ると、一年中湿っていた「湿田」が消え、水路と田んぼをつなぐ連続性が失われたという決定的な変化だった。魚は上がれず、カエルは越冬できず、水生昆虫は蛹になれない。
③農薬:宍道湖が示した「田んぼから河口へ」の連鎖
3つ目の圧力は化学物質だ。東京大学の山室真澄氏らの研究チームは、島根県・宍道湖の長期データを解析し、その成果を2019年11月にScience誌で発表した。宍道湖では湖底の大型底生動物(オオユスリカなど)が1993年に激減しており、これは日本でネオニコチノイド系殺虫剤が使われ始めた時期と一致する。そしてその直後から、底生動物を餌にしていたウナギとワカサギの漁獲量が激減していた。
ネオニコチノイド系殺虫剤は昆虫に選択的に効き、水溶性で分解に時間がかかる。水田で使われた成分が水路を通じて湖へ流れ込み、魚を直接殺すのではなく餌となる生きものを消すことで、間接的に漁業資源を減らした可能性が示されたのだ。
研究発表を見るウナギやワカサギの減少の一因として殺虫剤が浮上(東京大学)宍道湖でネオニコチノイド系殺虫剤の使用開始と同時にウナギ漁獲量が激減したことを示した、Science誌掲載研究のプレスリリース。🔗 k.u-tokyo.ac.jpこの研究は一つの湖の事例であり、影響の大きさをどこまで一般化できるかは議論が続いている。ただ、陸で使われたものが水系を下って別の生態系に届くという基本的な構図は、プラスチックや栄養塩の問題とまったく同じである。
「放棄されること」も圧力になる
面積の減少には、宅地転用のように用途が変わるものだけでなく、耕作されなくなって荒廃していく耕作放棄がある。中山間地域の棚田のように、機械が入りにくく生産効率の低い水田ほど放棄されやすいが、そうした田んぼほど周囲に林や湧水を伴い、生きものにとって価値が高いことが多い。生物多様性の観点から見て重要な田んぼほど、経済的には維持が難しいという逆説がここにある。
放棄された田は数年のうちに乾き、ヨシやセイタカアワダチソウに覆われ、やがて低木が入り込む。水域としての機能はほぼ失われる。前述した「二次的自然」の性質上、これは自然に還るというより、一つの生態系タイプが静かに消えることを意味する。だからこそ、担い手の確保や中山間地域への支援といった農政の課題が、そのまま生物多様性の課題になる。
| 圧力 | 具体的な変化 | 強く影響を受ける生きもの |
|---|---|---|
| 面積の減少 | 1969年344万ha→2025年230万ha、耕作放棄・転用 | 広い水域を必要とする水鳥、分散能力の低い種 |
| 乾田化 | 湿田の消失、冬季の水域ゼロ | ドジョウ、カエル、貝類、越冬する水生昆虫 |
| 用排分離・落差 | 水路と田んぼの往来が不可能に | フナ、ナマズ、ドジョウなど遡上して産卵する魚 |
| 護岸のコンクリート化 | 土の岸辺・浅場の消失 | ゲンゴロウ類、トンボ、抽水植物 |
| 中干しの長期化 | 変態・羽化前の乾燥 | オタマジャクシ、ヤゴ |
| 農薬 | 餌生物の減少と水系への流出 | 水生昆虫、それを食べる魚・鳥 |
田んぼと海はつながっている——「上流の農地」という視点
海洋メディアである当サイトが田んぼを取り上げる理由は、ここにある。水田は水系の最上流部に張り巡らされた巨大な浅い水域であり、そこで起きたことは水路・河川を通じて必ず河口と沿岸に届く。田んぼは、海から見れば「もっとも上流にある湿地」なのだ。
水は必ず海へ向かう
田んぼから流れ出る水には、栄養塩、土砂、有機物、そして農薬などの化学物質が含まれる。適度な栄養塩は沿岸の一次生産を支えるが、過剰であれば赤潮や貧酸素水塊の原因になり、逆に近年の瀬戸内海のように減りすぎればノリの色落ちや漁獲低下を招く。陸の水管理は、そのまま沿岸の生産力の管理でもある。この考え方を体系化したのが、当サイトでも解説している里海という思想だ。
回遊魚にとっては「一つの生息地」
ウナギ、モクズガニ、アユ、ヨシノボリ類など、淡水と海を行き来する生きものにとって、水田・水路・河川・河口は切れ目のない一続きの生息地である。水路が落差で分断されれば、彼らの分布域はそのぶん狭くなる。堰や落差工の改善、水田魚道の設置は、農地の話であると同時に沿岸資源の話でもある。
また、陸から海へ運ばれるのは水と栄養塩だけではない。ごみもまた同じ経路をたどる。当サイトの川から海へ流れ出すプラスチックごみで扱ったように、海洋ごみ対策の主戦場は陸域にある。田んぼの生きもの、河川の水質、海洋ごみは、別々の問題ではなくひとつの流域という単位で結ばれた同じ問題だ。
田んぼは「水を遅らせる装置」でもある
水田のもう一つの流域的な機能が、降った雨をいったん受け止めて流出を遅らせる働きだ。あぜに囲まれた田は、大雨のときに一時的な貯留槽として働き、下流のピーク流量を下げる。近年は、あぜの排水口に小さな調整器具を付けて意図的に貯留量を増やす「田んぼダム」の取り組みも各地に広がっている。
これは洪水対策として語られることが多いが、生態系にとっても意味がある。急激な出水は水路の生きものを流し去り、土砂と濁りを一気に河口へ運ぶ。水の流れを緩やかにすることは、田んぼの中の生きものにとっても、河口の干潟や藻場にとっても、穏やかな環境をつくることにつながる。水田の多面的機能と呼ばれるものは、防災・生物多様性・景観・文化が互いに絡み合った束なのだ。
流域でつながる3つの流れ
- 水:田んぼの湛水・落水のタイミングが、河川流量と河口の塩分環境に影響する
- 物質:栄養塩・土砂・農薬が水路を通じて沿岸に到達する
- 生きもの:回遊魚や水生昆虫が水路をたどって移動し、分断されれば往来が止まる
生きものを取り戻す——水田魚道・冬期湛水・生きものを育む農法
ここまで減少の話を続けてきたが、田んぼの生物多様性には明るい側面がある。それは「人が管理を変えれば、比較的短期間で生きものが戻ってくる」という点だ。自然の湿地を復元するには何十年もかかることがあるが、田んぼは毎年つくり直される湿地であるがゆえに、来年の水管理を変えれば来年の生きものが変わる。
水田魚道:落差を越える小さな階段
水田魚道は、圃場整備で生じた排水路と田んぼの落差を、魚が上れる勾配と流速にする簡易な構造物である。塩ビ管に仕切りを入れたもの、波付き管を使ったもの、コンクリートブロックを階段状に並べたものなど、地域の農家が自作できる低コストの方式が数多く実践されている。農林水産省は「水田魚道づくりのすすめ」としてその考え方と事例を公開している。
つくり方を見る水田魚道づくりのすすめ(農林水産省)水路と水田の落差を魚が越えられるようにする「水田魚道」の考え方・構造・設置事例をまとめた農水省の解説ページ。🔗 maff.go.jp農林水産省は水田魚道の目的を「水田を産卵・成育に利用する淡水魚の保全」と説明し、ドジョウ、ナマズ、タモロコ、フナ類、コイについて、水路から水田への遡上や水田から水路への降下に水田魚道の設置が有効だとしている。大規模な土木工事ではなく、集落の共同作業で設置できる規模の対策で、断ち切られた「魚の道」をつなぎ直せるという点が重要だ。設置後にどの魚がどれだけ利用したかは、地域ごとに調査データが積み上げられている段階にある。
冬期湛水と中干し延期:水のある期間を延ばす
冬期湛水(ふゆみずたんぼ)は、稲刈り後の冬にも田に水を張り続ける管理方法である。越冬する水生生物の避難場所になるだけでなく、渡り鳥の採餌・休息の場となり、イトミミズの活動によるトロトロ層の形成が抑草効果をもたらすとも言われる。中干し延期は、オタマジャクシの変態やヤゴの羽化がおおむね終わるのを見届けてから中干しを始めるという考え方で、農作業を大きく変えずに生存率を上げられる点で導入しやすい。
コウノトリ育む農法と「朱鷺と暮らす郷」
生きものを育む農法をブランドとして成立させた代表例が、兵庫県豊岡市のコウノトリ育む農法だ。豊岡市は平成15年度(2003年度)からこの農法に取り組んでいる。特徴は徹底した水管理にあり、冬期間も田んぼに水を張る冬期湛水と、田植えの1か月前から水を張る早期湛水によって、ほぼ一年を通じて田に水がある状態をつくる。こうしてコウノトリの餌となる生きものを田んぼごと育て、その米をブランドとして流通させている。
この取り組みを見るコウノトリ育む農法(兵庫県豊岡市)冬期湛水・早期湛水で一年中田んぼに水を張り、コウノトリの餌となる生きものごと米を育てる栽培方法の公式解説。🔗 city.toyooka.lg.jp新潟県佐渡市では、トキの野生復帰にあわせて2007年に「朱鷺と暮らす郷づくり認証制度」が立ち上げられ、翌2008年の放鳥に向けて餌場となる田んぼの環境整備が進められた。この制度の特徴は、認証を受けた生産者全員が年2回、田んぼの生きもの調査を行うことを義務づけている点にある。農家自身が自分の田の生きものを数えることで、環境の変化が生産者の手元のデータとして蓄積される。佐渡は2011年、国連食糧農業機関(FAO)の世界農業遺産(GIAHS)にも認定された。
この認証米を見る佐渡市認証米「朱鷺と暮らす郷」(新潟県佐渡市)トキの餌場づくりを条件に組み込んだ佐渡市の認証米制度。認証を受けた生産者は全員が年2回、田んぼの生きもの調査を行う。🔗 city.sado.niigata.jp
続けるための仕組み——支援制度とブランド
生きものに配慮した農法は、多くの場合、除草や水管理の手間が増える。数年は熱意で続けられても、担い手が代わればもとに戻ってしまう。取り組みを個人の善意に依存させないことが、田んぼの生物多様性を長く保つうえでの最大の課題だ。
そのための仕組みは大きく二つある。ひとつは公的な支援で、日本には環境保全型農業直接支払交付金や多面的機能支払交付金といった、環境に配慮した営農や地域共同での水路・農道の保全活動を支える制度がある。水田魚道の設置や江の整備、生きもの調査といった活動は、こうした地域共同活動の枠組みのなかで実施されることが多い。
もうひとつが、市場を通じた評価だ。コウノトリ育む米や朱鷺と暮らす郷のように、生きものへの配慮を明示したブランド米が慣行栽培米より高く売れるようになれば、手間は価格として回収できる。豊岡で20年以上にわたって取り組みが続き、産地としての広がりを得てきたのは、環境と経済がかみ合った結果である。環境配慮が「持ち出し」ではなく「価値」になったとき、はじめて面積が広がるという点は、あらゆる環境保全型農業に共通する教訓だろう。
| 手法 | 内容 | 主に回復が期待される生きもの | 導入のハードル |
|---|---|---|---|
| 水田魚道 | 排水路と田の落差に簡易な魚道を設置 | ドジョウ、フナ類、ナマズ、タモロコ | 低〜中(集落の共同作業で設置可能) |
| 冬期湛水 | 冬季も田に水を張る | 越冬する水生昆虫、貝類、水鳥 | 中(水利権・用水の確保が必要) |
| 中干し延期 | 変態・羽化を待って中干しを開始 | カエル、トンボ | 低(作業の時期をずらすのみ) |
| 江(え)の設置 | 田の一角に深みを残す | 干上がり時の避難先を必要とする全般 | 低〜中 |
| 農薬の削減 | 使用回数・成分の見直し | 水生昆虫とそれを食べる魚・鳥 | 中〜高(収量・労力とのバランス) |
| 認証制度・ブランド化 | 生きもの配慮を価格に反映 | 上記すべて(継続性が確保される) | 高(産地単位の合意形成が必要) |
気候変動対策と生物多様性のトレードオフ、そして私たちにできること
最後に、いま現場で最も議論になっているテーマに触れたい。気候変動対策と生物多様性保全が、田んぼの上でぶつかるという問題である。
中干し「延長」と中干し「延期」は正反対に見える
水田は湛水状態が続くと土壌が嫌気的になり、メタンが発生する。農林水産省によれば、水田からのメタン排出は日本全体のメタン排出量の約4割を占める。そこで注目されたのが中干しの活用で、2023年3月、J-クレジット制度に「水稲栽培における中干し期間の延長」(方法論AG-005)が承認された。その水田における直近2か年以上の平均より中干しを7日以上延長すると、メタン発生量を約3割削減できるとされ、削減分をクレジットとして認証・売却できる。2023年6月には同方法論に基づく最初のプロジェクトが承認された。
一方、生物多様性の側から推奨されてきたのは、中干しの開始を遅らせる「中干し延期」だ。オタマジャクシが上陸し、ヤゴが羽化するのを待ってから水を抜く。開始を遅らせる延期と、期間を長くする延長は必ずしも同義ではないが、「田んぼを乾かす期間が長くなる」という結果は水生生物にとって逆風になりうる。実際、市民団体や研究者からは、脱炭素を理由に中干しが長期化することで田んぼの生きものが失われるのではないかという懸念が示されている。
トレードオフをどう扱うか
重要なのは、どちらか一方を悪者にすることではない。メタン削減は気候変動対策として確かな意義があり、生物多様性の保全もまた譲れない。両立の鍵は、「いつ・どれだけ乾かすか」を生きものの生活史に合わせて設計することにある。羽化や変態のピークを外して中干しを行う、田の一角に「江」と呼ばれる深みを残して避難場所を確保する、地域単位で湛水期間の異なる田をモザイク状に配置する——といった工夫は、削減効果を大きく損なわずに生きものを残す余地がある。効果の検証はまだ途上であり、地域ごとのデータの蓄積が求められている段階だ。

消費者・市民として関われること
田んぼの生きものの行方は、農家だけの問題ではない。生きものに配慮した農法は、除草や水管理に手間がかかり、収量が下がる場合もある。そのコストを産地だけが背負う構造では続かない。コウノトリ育む米や朱鷺と暮らす郷のような認証米を選ぶことは、生きものの分の手間に対価を払うということだ。田んぼの生きもの調査に参加すれば、地域のデータそのものが増える。
日本の生物多様性がなぜ豊かなのかという全体像は日本の海の生物多様性でも扱っているが、その豊かさは海だけで完結しているわけではない。山から田へ、田から川へ、川から海へ——水の通り道すべてが健全であってはじめて成り立つ。田んぼの合唱が続くかどうかは、海の豊かさが続くかどうかと、確かにつながっている。
今日からできること
- 近所の田んぼで、季節ごとにどんな生きものがいるか記録してみる(鳴き声だけでも十分な情報になる)
- コウノトリ育む米・朱鷺と暮らす郷など、生きもの配慮を明記した認証米を一度選んでみる
- 地域の「田んぼの生きもの調査」や環境保全型農業のイベントに参加する
- 水路や農業用ため池のごみ拾いに関わる(下流の海洋ごみ削減にも直結する)
- 田んぼの水が最終的にどの川を通ってどの海へ出るのか、地図で自分の流域を確認してみる
この記事のまとめ
- 日本の水田と周辺には6,305種の生きものが記録され、水田はラムサール条約上も「人工湿地」と位置づけられている
- カエル・ドジョウ・タガメなど多くの種が、田んぼの水のリズムに合わせて生活史を組み立ててきた
- 田の面積は1969年の344万haから2025年に230万haへ減り、乾田化・用排分離・農薬が重なって生きものが減少した
- 水田で使われた農薬が河口の魚に影響しうることを示した宍道湖の研究など、田んぼと海は水系でつながっている
- 水田魚道や冬期湛水、中干し延期など、管理の工夫で生きものは比較的短期間に戻せる
- 中干し延長によるメタン削減と生物多様性保全のトレードオフは、水管理の設計次第で両立の余地がある
参考文献・出典
- 農林水産省 – 農業農村整備における生態系調査(全国「田んぼの生きもの調査」平成13〜21年度)
- 滋賀県立琵琶湖博物館 – 田んぼの生きもの全種データベース(水田と周辺の6,305種を収録/2020年11月公開)
- 環境省 – タガメの保全の手引き(令和5年5月)
- 環境省 – 環境省レッドリスト2018 補遺資料(ドジョウを準絶滅危惧に追加)
- 農林水産省 – 水田魚道づくりのすすめ
- 農林水産省 中国四国農政局 – 水田魚道に取り組むための手引き(平成23年3月)
- 農林水産省 – 令和7年耕地面積(7月15日現在)
- J-クレジット制度 – 方法論 AG-005 水稲栽培における中干し期間の延長
- 東京大学大学院新領域創成科学研究科 – ウナギやワカサギの減少の一因として殺虫剤が浮上(Science, 2019)
- 兵庫県豊岡市 – コウノトリ育む農法
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